ディズニー映画語り ナイトメア・ビフォア・クリスマス | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。


はいどーも。



今回も引き続きクリスマス特集です。

折角季節ですから。

やっぱりシーズン物の映画って、間違いなくそのシーズンを盛り上げてくれますからね。

そういうのは大事にしたい人です。意外と。


さて。



今回はクリスマス・そしてハロウィンといえば欠かすことのできない、奇才ティム・バートンによるあの超メジャーディズニー作品について語っていこうと思います。


ティム・バートンに関してはたまたまこのブログであまり語る機会がありませんが、彼の作品は実写・アニメーション問わず本当に大好きです。


特に『ビッグフィッシュ』という実写映画は、おときちの生涯の10本に間違いなく入る程大切な作品だったりします。



彼とディズニーは、古くティム・バートンのアニメーター時代からの付き合いで、長い年月の間にくっついたり離れたりを何度も繰り返しているまるで幼馴染のカップルのような関係w


ただ、2019年実写版ダンボで決定的に完全決別してしまった様だと巷では言われてますね。


当人同士はどうかわかりませんが、端から作品を見てるとこの両者は間違いなく相性が良いと思うので、是非またいつかタッグを組んで欲しいものです。



さて、前置きが長くなりましたが今回はそんなティム・バートン×ディズニー作品の中から、最も有名な代表作と言えるこちらの作品をピックアップしていきます。





(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)





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  ナイトメアー・ビフォア・クリスマス

(原題:The Nightmare Before Christmas)

1993年

監督

ヘンリー・セリック


データ

ディズニースタジオ部門の1つタッチストーン・ピクチャーズティム・バートンスケリントン・プロダクションが共同制作したストップ・モーション・アニメーション映画。


ティム・バートンがディズニー在籍中に立ち上がり1度ボツになった企画が、彼のディズニー退職後に再び持ち上がり両陣営の共作にて約3年の期間をかけて制作されました。


尚、ティム・バートンの代表作としてよく挙げられる今作ではありますが、当時彼は手掛けていた「バットマン リターンズ」の制作で手一杯であり、原案・原作と制作の一部に携わったのみで、監督は務めていません



監督を務めたのはヘンリー・セリック

ティム・バートンと同時期にディズニーでアニメーターとして働き「ピートとドラゴン」「きつねと猟犬」にも参加し、ティムとはのちに「ジャイアント・ピーチ」で再タッグを組む等、彼からの信頼の厚い人物です。


※又この作品は正式タイトルに「ティム・バートンのナイトメア〜」と付く事からティムの監督作品だと勘違いされがちですが【彼が制作現場に来たのは2年のうち8日か10日で、あくまでこの作品を作り上げたのは私と私のチームだ】と、ヘンリー・セリックは後に主張しています。



脚本は「アダムス・ファミリー」でも知られるキャロライン・トンプソン

「シザー・ハンズ」「コープスブライド」等ティム・バートン作品も多く手掛けています。


音楽にはこちらもティムとのタッグで有名なダニー・エルフマン


世界中のホリデーを司る街が存在する不思議な世界・ホリデーワールドで、ハロウィンタウンの王ジャックがクリスマスを乗っ取ろうと奮闘するダークミュージカルファンタジー


ハロウィンムービークリスマスムービーの両方の側面を合わせ持っています。


ストップ・モーションという人形等の物体を少しずつ動かし一枚ずつ撮影していくという伝統的な手法を用いた代表的な作品の一つであり、この技術にディズニーロジャー・ラビット等で培った最新の映像技術アニメーションデジタル効果を提供する事でこの作品の不思議な世界観が実現しました。



主演のジャック・スケリントンを俳優のクリス・サランドン、歌パートは楽曲を担当したダニー・エルフマンが自ら演じています。

日本語版は劇団四季出身俳優の市村正親さん。


ヒロインのサリー役には「ホーム・アローン」で有名なキャサリン・オハラ。数々のディズニーキャラクターの声優も務めています。

日本語版はポカホンタス役でもお馴染みの土居裕子さん。



ヴィランのブギー役には舞台俳優として知られるケン・ペイジ。日本語版はこちらも劇団四季出身であり「ライオン・キング」プンバァ役としても有名な小林アトムさん。


フィンケルスタイン博士役に1960〜90年代に活躍した名優ウィリアム・ヒッキー。日本語版はレジェンド声優の一人三ツ矢雄二さん。


日米共に見事に実力者揃いのキャスト陣となっています。



公開当時の興行収入自体も成功は収めていますが、この映画の最も特徴的なトピックは、リバイバルによる本格ブーム化です。


当時それほど話題にならなかったこの作品は、長い年月をかけてじっくりと口コミ等を中心にその認知度を拡大していき、2000年代を過ぎてから人気が本格化


ディズニーが自社作品として積極的にグッズ展開リバイバル上映を行いはじめ、人気アトラクション「ホーンテッドマンション」期間限定バージョンとしてパークにも本格進出


2000年代には約年に1回のペースでリバイバル上映が行われ、そのリバイバル収益により本作の興行収入はなんと公開時の倍以上に膨れ上がり、現在は1億ドルを突破しています。


その人気の秘密は他のどの映画とも似ていない唯一無二の世界観とキャラクターの個性、そしてデザイン性の高さ


その圧倒的な個性は現在でも沢山の人々を魅力し、カルト的人気を獲得し続けています。


さらにこの作品はその個性的なデザイン性の高さからファッションや芸術の分野にも多大な影響を与えている作品でもあり、特に所謂【ヴィジュアル系】との類似性が高く、日本ではファッションアイテムとしても1種のブームとなった時期がありました。


非監督作品でありながらティム・バートンの最も有名な代表作として現在でも広く親しまれています。


監督のヘンリー・セリックを中心に続編の企画も何度か持ち上がっていますが、いずれもティム・バートンが首を縦にふらず実現には至っていません。


※家庭用ゲーム作品で、ティム・バートンや映画の制作スタッフが数名監修に関わった事実上の続編が2004年にリリースされています。



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あらすじ



ここは世界中の休日を司る街が集まっている世界・ホリデーワールド。


とある年のハロウィン。

ハロウィンタウンの王ジャック・スケリントンは思い悩んでいた。無事に今年もハロウィンは大成功。沢山の人々を怖がらせ住人達も大喜びだが、毎年毎年同じことの繰り返しである事にジャックはマンネリを感じ、嫌気が差し始めていた。


そんなジャックはハロウィンの終了と同時に街から姿を消し、行方不明となってしまう。


科学者フィンケルスタイン博士が作った継ぎ接ぎ人形のサリーは密かにジャックに恋心を抱き、様子のおかしい彼を心配していた。


思い悩むあまり寝ずに森を彷徨い歩き続けたジャックと愛犬のゼロは、森の奥で不思議なドアが付いた沢山の木を見つける…。


その中の一つに興味を惹かれたジャックが近づくと、ドアは突然開きジャックを吸い込んでしまった。


ジャックがたどり着いたドアの向こうの世界。

それは一面を白い雪に覆われ、色鮮やかな光が装飾され、食べ物の美味しい匂いと住人の楽しそうな笑顔に溢れた街。


表札にはこう書かれていた。


【クリスマスタウン】


ジャックは自分がこれまでやってきた事と全く違うこの不思議な街と雰囲気に強く惹かれ、クリスマスを自分達でやろうと行動を起こし始める。



しかしこの思い付きがやがてクリスマスタウン、ハロウィンタウン、そして人間界をも揺るがす大事件を巻き起こす事になるのであった…。


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感想



良くも悪くもディズニー史上最大の雰囲気映画といえると思います。


デザイン性の高さに騙されて深い物語やテーマを期待してはいけませんw



最初から最後までデザイン性の高さ映像の美しさ雰囲気の良さ音楽の良さだけで押し通すゴリ押しパワー系映画ですw



ストーリーとかテーマは、なんか正直ディズニージュニアとかでやるのにピッタリな子供向けのシンプルな内容と言えるでしょう。


何か深いものがあるようで、実は中身はスッカラカンです。


それを、本当に雰囲気映像・音楽だけで【唯一無二の体験が出来るファンタジー映画】に持ち上げてるんですよ。


これは本当に恐ろしいです。


でね。

これって、実はディズニーが最も目指している、いや、目指すべき所だと思うんですよね。


ストーリーは子供にもわかるシンプルさだけど、映像や音楽で大人も唸らせるって。


ずっとやってきた事ですよね、ディズニーが。


個人的にはこれがティム・バートンディズニー相性が良いと言い張りたい一番のポイントなんですよね。


両者が目指してるところって多分実は本当に近いんだと思うんです。


このナイトメアはその最たる物の一つですよね。


「深いストーリーや捻ったテーマがなくても、映画ってこんなに面白くなるんだ。」


て事を証明するような。


今のところ個人的にこの路線のNo.1は間違いなくこの作品です。


何年経ってもまた観るとその世界観に持っていかれますからね。


大好きです。



徹底した世界の作り込み



もちろんストップモーションによる途方もない労力で制作されたアニメーションは必見です。
一分のシーンを作るのに実に1週間を費やし、ジャックの頭部だけでもなんと400種類のパーツが使用されています。

2Dとも3Dとも違う、その独特の映像世界はとても魅力的です。


しかしこの作品の最も凄いところは、ティムの練り上げたその膨大な設定やディティールに基づいた世界観の奥行きとそれを見事に具現化したデザイン・芸術性の高さです。


登場するキャラクターや場所などその全てに詳細な設定や構想・ストーリーがあります


作中ではモブ的な役割にとどまったキャラクターも含めて全てに名前があり設定がしっかりと与えられているんですよね。


これらの作中に登場しなかった設定や キャラクターのディティールなどは後に発売された続編ゲーム「ブギーの逆襲」存分に活かされることになるのですが、この詳細な設定が作中本編にも物語と世界観に大きな奥行きを与えてくれています。


単純なストーリーにもかかわらず見ている人が物語に没入していけるのも、この裏打ちされた世界観のディティールが大きく影響しているのは間違いありません。


そしてその世界観を余すことなく表現するデザイン・美術の職人芸も本当に素晴らしいです。


キャラクター造形もさることながら個人的にとても感動したのはやはりそのセットの作り込み


ティムバートンの世界を再現するため非常に細かくこだわり抜いたセット作りがなされています。


一番これは大きかったなと思うのが、作品全体にペン画の雰囲気を持たせるためにセットの一つ一つに細かな線を敢えてたくさん刻んでいること。


この工夫が、ナイトメア独自のファンタジーながら芸術的不思議な世界観を生み出しているんですよね。


本当に素晴らしい拘りと作り込みだと思いました。



作品を決定づけた圧倒的な音楽



ダニー・エルフマンは今やティム・バートンのみならず映画音楽には欠かせない音楽家の一人ですが、彼の代表作はやはり間違いなくこのナイトメアでしょう。


断言できますね。


それくらい素晴らしい劇伴楽曲の応酬です。


【作品に寄り添った楽曲】ではなくてその先の【作品を形作る楽曲】になっているんですよね。


正直、語弊があるかもしれませんがこの映画はダニーエルフマン楽曲ありきの作品だと言って間違いないと思います。


これは本当に凄いことだと思うんですよね。


最早ハロウィンの定番ソングとなった「This is Halloween」はもちろん、ダークファンタジーの雰囲気をしっかり作り上げながらも、尚且つキャッチーでポップな楽曲に仕上がっているのが、本当に奇跡的というか驚異的なんですよ。



この曲調でこんなポップって、一体どうなってんのよ、と。


ダニー・エルフマンはこの後も沢山の名劇伴を生みだしていますが、ちょっとこの作品は異次元です。



というかそもそもなんですが、この作品をミュージカル映画にしたというのが本当に英断でしたよね。


よくこのクオリティの、ストップモーションアニメここまでのミュージカルを作り上げたと思います。


「what's this?」とか小鬼達の「kidnap the sandy claws」とかちょっと93年のストップモーションであのクオリティのミュージカルやられたら手描きとか3Dアニメは形無しですよね。


あまりこの路線では話題になりませんがミュージカル映画として他のディズニー作品を凌駕するクオリティを持っている映画だと思いますね。



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まとめ




冒頭に雰囲気映画と書きましたが、逆に言うとこのストーリープロットのさじ加減が絶妙だとも言えますよね。


主人公のジャックはかなり破天荒で、何ていうか今風に言うと相当のダメ男です。


ストーリーも教訓とかありそうだけど全然無くて、簡単に言うと「良い話」では全然ないんですよね。


ジャックが自分の失態から秒で立ち直って開き直るくだりとか、違う意味でゾッとしましたもんねw


このストーリーの取り留めのなさも、この独自の世界観の形成にひと役かってるんですよね。


それと、これとっても大きいと思うんですけど、キャラクターがストーリーに縛られていないんですよ。


これも本当に凄いことで。


ストーリーに合わせたキャラクター性ではなくて、モブも含めてそれぞれが本当に自分達らしく活き活きしてるんですよ。


だからこそキャラが皆魅力的だし、掴みどころの無い奇妙な世界とストーリーを生み出せてるんですよね。




原案のティム・バートンの発想力はもちろんですが、それ以上に監督をはじめとする制作スタッフの血の滲むような努力の跡が伺える映像世界、そして音楽の圧倒的な力を感じる、ダークファンタジーの傑作である事は間違いありません。


ディズニーがずっと追い求めている「シンプルなのに映像や音楽で人々の心を掴む映画」最も近い映画の一つじゃないでしょうか。


表現の部分で子供向けというポイントだけが該当しませんが、子供心はたっぷりの作品ですよね。


正規のディズニーアニメーションよりも何倍もピュアな作品だと思います。



続編も見たい気もしますが、もうこの空気感を再現するのはあらゆる面で無理だろうなぁ…と。


ある意味1993年というこの時代だからこそ出来た作品ですよね。


今のディズニーにもティム・バートンにも、この作品はもう作れないと思います。


色んな意味で。




この先間違いなく永遠に、伝説的に語り継がれていくカリスマアニメーション映画「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」


ハロウィンクリスマス風物詩として、ぜひ年に1度は観て頂きたいような、そんな素晴らしい名作ファンタジーです。






「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」は現在ディズニープラスで配信中です♪





はい。


というわけで今回はこの辺で!



今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪



また次回。



しーゆーねくすとたぁいむー。




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