ディズニー映画語り 新くまのプーさん | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。



はーいどうも。

今回は久々にディズニー制作のテレビ用アニメーションについて語っていきたいと思います。

ディズニーと言えば劇場用アニメーションがやはり代表的な主流事業であるイメージがもちろん強いと思いますが、実は1980年代頃からディズニーはテレビカートゥーンにもかなりの力を入れていて、現在でもディズニーチャンネルを中心に沢山のテレビアニメーションの名作を生み出した続けているんです。

以前語った「悪魔バスター スター・バタフライもそんな傑作ディズニーテレビアニメーションの一つ。

他に有名なところでいくと「フィニアスとファーブ」「キム・ポッシブル」最近では「ミラキュラス レディバグ&シャノワール」「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」等が高い人気と評価を得ています。


今回はそんなディズニーのテレビ産業の礎を作ったディズニーテレビアニメーションブーム草創期の作品の中から、あらゆる意味で【ぶっちぎりの異端児と言えるこちらの作品について語っていきたいと思います。


(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)




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  新くまのプーさん

(原題:The New Adventures of Winnie the Pooh)

1998-1991

制作指揮

カール・グールス

ケン・ケッセル


データ

1989年〜1991年に制作・放送された全50話のディズニーのテレビアニメーションシリーズ


ディズニー初の本格テレビアニメーションシリーズと言われれた「ダック・テイル」の大ヒットを受けて、新たに企画制作されたシリーズの一つ。


ディズニー長編映画の作品とキャラクターをテレビシリーズ化した史上初の作品です。



制作はカール・グールスケン・ケッセル。この2人をはじめカーター・クロッカーやマーク・ザスラブ等、後の名作「くまのプーさん クリストファー・ロビンを探せ!」をはじめプーの様々なテレビ・ソフト作品を手掛けていく言わばテレビ版プーさんの生みの親と言える面々が揃っています。


さらにエピソード監督の一人としてディズニー往年の短編映画【プルートシリーズ】ミッキー・マウスの短編作品も数多く監督してきた超ベテラン、チャールズ・A・ニコルズも参加。


1977年に公開された「くまのプーさん完全保存版」の世界観をベースに、原作や劇場版とは全く異なる設定やテーマを付与した新しいプーさんの物語


お馴染みのプークリストファー・ロビンに加えてピグレットら100エーカーの森の仲間たち、ディズニーオリジナルキャラのゴーファーも含めて「完全保存版」に登場した全てのキャラクターが登場。


その他にも、、


数エピソードに渡りゲスト出演し、次作「ザ・ブック・オブ・プー」ではレギュラー入りを果たす小鳥のケシーや…



甥のデクスターをはじめとするオウルの親戚たちや…


ちょこちょこ登場し物語の道徳的な部分を担うネズミ窃盗団


さらに原作や劇場版ではプーたちの空想上の生き物であった【ズオウとヒイタチ】


果にはクリストファー・ロビンの母親ベビーシッター等…


実に様々な新キャラクターが登場します。


最大の特徴はこれまでのプー作品と一線を画すその斬新な設定変更


全てにおいてアメリカナイズされており、原作や 劇場版の【空想の世界】【本の中の世界】という 大元設定は完全無視


舞台はイギリスからアメリカへ変更されていて、100エーカーの森はロビンの住むアメリカの街と直結しています。

ロビンの家には母親やベビーシッターも普通に登場。プーたちは現実に実在するクリストファーロビンのおもちゃとして扱われており、ロビン以外の人間がいるときはプー達はおもちゃのフリをしていたり、時には普通に人間界の映画館やスーパー等のにも繰り出します。


分かりやすく言うと「トイ・ストーリー」にかなり近い設定で、実際にジョン・ラセターはトイ・ストーリー制作の際、この作品から着想を得たという旨の発言を残しています。


その反面100エーカーの森の方は原作以上に奇想天外な世界になっていて、空が落ちてきたり森中に魚が大量発生したり井戸やベッドの下が異次元空間に繋がっていたり…まさに何でもあり



もともと子供の視点で描いたマナーコメディ(風刺コメディ)という初期案でスタートしたこのシリーズ。最後までその姿勢はほぼ変わりませんでした。


プーさん達は原作等よりもより子供っぽくより風変わりであり、全編通して子供に楽しいコメディを貫きながらも、各エピソードの中に必ず1つ大人たちや社会への風刺・子供たちへのメッセージを織り交ぜるという構成が取られています。



ここまで大きな改変を行いながらも、この作品はディズニー テレビアニメーション史上に残る空前の大ヒット作品となりました。


子供だけではなく一般の大人や高齢者、そしてディズニーファンなど非常に幅広い世代から受け入れられ、数々のも受賞。


コミックゲーム等様々なメディアミックスが展開され、シリーズ終了後もいくつものスペシャル版続編が制作されています。



この作品のヒットで、1980〜90年代にかけてプーさん人気は世界中で大爆発


1977年の映画【完全保存版】は好評価を得ながらも決して大ヒットしたわけではなく、当時プーさんは今ほどメジャーな存在ではありませんでした。そんなプーさんの世間認知度を一気に高め、ミッキーマウスに追随するほどのディズニーメジャーキャラクターまで押し上げた一番の立役者がこのテレビシリーズ「新くまのプーさん」です。


現在でも特にアメリカでは強い支持を得続けており、日本でも【マニアックなプーさん作品】としてファンから愛され続けています。


何よりも、この作品のヒットは以降のトゥーンスタジオによる劇場版プーさんの復活や、後続の「ブック・オブ・プー」「プーさんといっしょ」等のテレビシリーズに脈々と枝葉を伸ばし続けており、ディズニーのプー作品においてターニングポイントとなるとても大きな作品であったことは間違いありません。



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あらすじ




※The Wishing Bear


ある冬の日プーはクリストファー・ロビンから願い星の話を聞く。夜空に光る一番星に呪文を唱えて願い事をするとそれが叶うという。

翌日願い星の事を知ったピグレットやティガー達は自分の願いを叶えて貰えると喜ぶが、プーは肝心の願い事に必要な呪文を忘れてしまっていた。


やっとの事で呪文を思い出し、それぞれの願いを唱えた一行だったが最後のプーが願いを唱えた時、突然願い星が空から消えてしまった。


責任を感じたプーは願い星の代わりに皆の願いを叶える事を決意するが……


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感想



いちプーさんファンとしては本当は怒らなきゃいけないところなんでしょうけど、なぜかこれは認めてしまう…どころか大好きになってしまう…そういう不思議な魅力を持った作品です。

伝統深くファンの多いこの【 プー】という作品を盛大にやりたい放題改変しまくりながらも、なぜかすんなりと【これも間違いなくプーだ】と感じさせる説得力と情熱を感じるんですよね。


ぶっ飛びカオスコメディにひっとそりと丁寧に忍ばせた社会風刺やメッセージ

このバランスがなんとも絶妙なんです。

なんとも言えない中毒性があります。

それでいて「こんなのプーじゃない」と思いながら見始めたハズが見終わると「間違いなくプーだった」と何故か思える、実はかなり芯の通った作品


間違いなく数あるディズニーのテレビカートゥーンシリーズの中でも、歴史に残る怪作の一つだと思いますね。



詳しくは↓↓で。


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大胆な破壊と通った芯



前述した通り原作や【完全保存版】のファンであれば怒っても何ら可笑しくないような設定・世界観の崩壊具合です。


素人のパロディや二次創作でもここまでしないでしょう。それくらいぶっ飛んでます。


しかし、これがこの作品の驚愕するところなんですが、設定崩壊・キャラ崩壊とも言える突飛な内容の目白押しながらも、世界観とキャラクターの根っこの部分が間違いなく【クマのプーさん】なんですよね。



これは本当に凄い事だと思います。


見たことある方なら言いたいことわかると思いますが、本当に、容赦なくぶっ壊してますからw




ラビットが街のおもちゃ屋で売りに出されたり、プー達がロビンと映画館で映画見たり、小さいピグレットみたいな部族が独自の文化で暮らす国があったり、空のかけらが落ちてきて天空に雲製造マシーンを直しに行ったり、が森中に溢れかえったり、ティガーの縞模様が急に消えたり




上げだしたらキリがないです本当に…


ここまでメチャメチャやっても、それでもこの作品は紛れもないプーさんなんです。


それは【ぶっとい芯の部分】が他のプー作品と何ら変わらないから、、なんですよね。


「童心」「純粋さ」いう根幹のテーマ、クリストファー・ロビンとプーの関係性、、、この作品の根っこの部分が原作や完全保存版から奇跡的に全くブレていないんですよ。


キャラ崩壊してるのに、それぞれの大事なアイデンティティだけは頑なに死守してるんです。


プーのロビンへの想い、そしてロビンのプーへの想い…ラビットのコントロール欲、ティガーの多動性、オウルの自己顕示欲、ピグレットの恐怖症、そして一同のロビンへの依存性…


そして物語に置いても【童心と純粋さ】この2つを起点として動いていくという構図が本当に一貫してます。


どんなに好き放題やっても、この芯が全くブレない所が、この作品を「間違いなくプーの物語」だと感じさせる強固な要因だと思います。



風刺とキッズコメディの見事な融合




それとこのシリーズならではの要素、ハイテンションハイスピードのぶっ飛びコメディでありながら、各エピソードにひっそりと一つずつ込められた社会風刺やメッセージ


これがまた絶妙にハマっているんですよね。


前述の通り子供の視点で描いたマナーコメディ(風刺コメディ)をテーマとして制作されているので、簡単に言うと【子供から見た大人達や社会のおかしな所・いびつな所】に結構ザクザク切り込んでいます。



社会派作品というと昨今の「ズートピア」等のディズニー映画の主流になってきてるワードではありますが、この作品がそれらと決定的に違うのは【あくまでも子供の視点に立っている】という点。


これは本当に画期的だったと思うし、今のディズニー映画のやり方より数倍上手いと思いますね。


実際にこの作品がアメリカで最も評価されてる点はこの部分なんです。




子供は楽しいプーのカオスなコメディを観ながらそこから毎エピソード必ず何かしら学んだり気づいたりできるようになっているし、それ以上に大人がハッとさせられるエピソードもかなり多いです。


よくある子供向けの教育アニメとかとは似ているようで全く性質が異なります


カオスな部分だけがよく抜き取られて話題になる今作ですが、ぜひこの側面をもっと沢山の人に知ってほしいですね。





ザ・カオスコメディ



最後に、やっぱり無視できないのは毎回繰り出されるトンデモアメリカンコメディの応酬ですw


もうネジ一本抜けちゃってるようなカオスな展開も目白押しです。


このノリがよくプーで出来たなと感心させられますね。




ちょっとある意味先の展開やキャラクターの行動が予測不能なんですよね。


なのにちゃんと子供も大人も笑えるコメディに仕上がってるんです。


プーさんシリーズって、実は作品内容自体は子供への受けがあまり良くないんですよね。


空気感がスローすぎたり、哲学ギャグみたいなのも多いから結構飽きちゃうんですよ。


何気に子供が見ていて一番面白いプー作品がこの「新くまのプーさん」なのは間違いないと思います。この辺はアメリカナイズした空気感がとても功を奏してる部分ですね。



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まとめ



まぁ間違いなくディズニープー作品の中ではとびっきりの異端児です。

それでいて実はある種の最高傑作であるという呼び声も高い作品なんですよね。

なんか全てがギリギリのところで上手くまとまった際どいながらも奇跡的な作品だと思います。

ある意味ではこれまでのプーという作品の弱点を克服したシリーズとも言えるでしょう。

子供に見せるには、そしてアメリカンコメディが好きな人には無条件でオススメできますね。

個人的にはもう最高に大好きな作品です。
笑いのセンスも素晴らしいですしね。
何よりもここまでやってちゃんとプーさん出来ちゃってるのが重ね重ね本当に凄いです。

笑いながら斜に構えて観ていたら、何だかんだ感心させられたり感動させられたりするエピソードも沢山あるんですよね。



ただ、あくまでもパラレル的立ち位置である事は踏まえた上で観て欲しいとは思います。

プーさん=コレだと思われてもそれはそれで困るのでw


何にせよ、ディズニープーさんの無限の可能性を名実ともに証明した名作・怪作である事は間違いないですね。




ディズニープラスで全話配信されていますので、機会があればこの「奇妙なプーワールド」、是非一度覗いてみて下さい♪


はい。


というわけで今回はこの辺で!



今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪



また次回。



しーゆーねくすとたぁいむー。

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