ディズニー映画語り アナと雪の女王2 | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。



ハイドウモ。


さて、今回は恒例のディズニーアニメーション映画史です。


【ディズニー第3の黄金期】と言われる、2010年代もいよいよ大詰めです。


「塔の上のラプンツェル」「シュガー・ラッシュ」スマッシュヒットから始まり、2013年「アナと雪の女王」による特大ブレイク、さらに続くベイマックス」「ズートピア」も大ヒットを記録する等2000年代の低迷が嘘のような快進撃をみせたディズニー。


しかしその一方で、作品への思想やメッセージ性の露骨な内包様々な意味でのディズニーイメージ転換戦略近代映画トレンドに寄せた内容による伝統の破壊等からアンチが大量に発生するという側面も目立った今回の黄金期。




前作「シュガー・ラッシュ オンライン」ではネット社会等の現代社会問題を間接的に描き【社会派ディズニー】のイメージはさらに強まります。


そしてそんな黄金期の集大成として次に満を持して公開されたのは、あのメガヒット映画待望の続編作品でした。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  アナと雪の女王2

(原題:Frozen II)

2019年

監督

クリス・バック

ジェニファー・リー


データ

ウォルトディズニーアニメーションスタジオ58作目の長編アニメーション。


2013年に公開された「アナと雪の女王」シリーズの1つであり4本目となる正式な続編作品


ディズニーアニメーションスタジオによる純粋な長編続編作品としては「ビアンカの大冒険」「シュガー・ラッシュ」に続く三作目にあたります。

(※リブート要素のあるファンタジアやくまのプーさんは除外。)

 

監督は一作目同様、80年代からディズニー作品を手掛けてきた重鎮クリス・バッグとジョン・ラセターの後任としてチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したジェニファー・リー

脚本もジェニファー・リーが兼務。


音楽にはアナ雪シリーズほぼ全ての作品の音楽に携わっているクリストフ・ベック
さらにオリジナル楽曲「くまのプーさん(2011)」や後に「リメンバー・ミー」も手掛け一作目の「Let It Go」でアカデミー賞を受賞したロペス夫妻という、一作目のオリジナルスタッフを完全再現した布陣での制作となりました。

原作はアンデルセン童話「雪の女王」
ですがそれは主に一作目の話であり、今作のストーリーに関しては完全なディズニーのオリジナルです。ただし、一部に先住民族サーミ人の歴史や北欧に伝わる伝説等をモデルとした物語となっています。


アレンデールの女王エルサとその妹アナを主人公に、1作目から3年後、2人とアレンデールに降りかかる新たな大事件を描いたダブル主演のファンタジーアドベンチャー


主人公エルサ役をディナ・メンゼル
日本語版は松たかこさん。

アナ役はクリスティン・ベル
日本語版は故・神田沙也加さん。

オラフ役はジョシュ・ギャッド
日本語版は武内駿輔さん。

クリストフ役にジョナサン・グロフ
日本語版は原慎一郎さん。

と、キャスト勢もオリジナル陣が完全復帰しています。


日本では一作目に比べると大きな話題にならなかったような印象がありましたが、それでも興行収入は130億を越えており、世界興行収入はなんと一作目を凌駕するとんでもない数字を記録し、アニメーション世界興行収入第2位という偉業を達成。

(1位はリメイク版のライオン・キング。この作品は定義としてはアニメーション映画に入りますが、ディズニーは実写版主張しており、ディズニー側ではアニメーションの第1位はこのアナ雪2であると位置付けています。)

一作目に全く劣らない絶賛を各方面から獲得していますがアカデミー賞受賞は逃しており、一作目以上に様々な要素の絡んだその内容には日本等を中心に少々賛否両論であったりと、その莫大なヒットと比例して評価がわかりやすく割れた作品でもありました。


明確な定義はありませんが、以降の作品の収益等から、2010年代初期から始まった第3黄金期は【この作品をもって終焉した】というのが現在では最も多い見解となっています。



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あらすじ



アナとエルサ。
二人の絆が復活しアレンデール国の扉が開いたあの事件から3年。

エルサは女王として立派に国を治め、街の人々もエルサを心から信頼し、アレンデールは平穏に包まれていた。

アナやクリストフ、オラフ達もまたエルサをサポートしながら充実した日々を送り、クリストフはアナへのプロポーズを計画していた。

異変が起こり始めたのはとある秋の日。

エルサは突然【謎の歌声】を聞くようになる。
その声は自分を呼んでいるように聞こえた。

その夜、エルサは声に導かれるままに意図せず魔法の森の4つの精霊を目覚めさせてしまう。

アレンデールを災害が襲い、街の人々は高台に非難することに。

父親が昔語ってくれた【魔法の森の話】にヒントを見出したエルサは、アレンデールを救うため、【謎の歌声】の正体、そして自分を知るために、アナ、クリストフ、オリフ、スヴェンと共に魔法の森を目指して旅に出る決心をする。

こうして、アナとエルサの新たな冒険が始まった。

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感想



まず言っておきたいのは、、

【1とは全く違う映画】

になっているという事です。

ド派手なアクションの応酬、ミステリー要素、植民地問題等をテーマとした社会性、そして3分を越える長尺での一世一代の大ギャグw…

これでもかというくらい新しい事を詰め込んでます。

【1を絶対に越えるんだ】

という制作陣の気概がひしひしと伝わってくる程に。

詰め込みすぎて、ともすると観客が置いていかれてもおかしくないのですが、ここで大きな分かれ目になってくるのは前記事でも書いた【前2作の短中編を観ているか否か】です。

これによっておそらくこの作品の感触と捉え方がかなり変わってくると思いますね。

重ねてにはなりますが是非前2作の「エルサのサプライズ」「家族の思い出」をご覧になってから2に臨んでほしいです。

余談になりますが、この作品に限った事ではありませんが「前作を見てなきゃ楽しめない続編なんて…」という声をまぁいまだによく耳にするんですが、、

【続編とはそういう物です】

としか言いようがありませんw

続編とは、前作を観た人の為の物です。



話を戻しますが、それを踏まえての今作の個人的な感想としては【続編映画としては傑作。ディズニー映画としてはやや難アリ…】といったところでしょうか…。



まぁいつも通り詳しくは↓↓で〜。



プロット力の素晴らしさと不親切さ



もともと続編の予定はなかったアナ雪。

つまり今作で描かれている事はほぼ全て一作目時点には無かった【後付け設定】なわけです。

個人的に、後付け設定でここまで見事な映画は観たことがありません。
1.2.3作目と端々まで完全にリンクさせ、数々の逆伏線を作りそれをミステリー要素としている構成は見事で、効果的に物語の中で小出しにしながらストーリーを非常に分厚くする事に成功しています。

スルーされていた両親の死に巧妙に謎を持たせたり、一作目冒頭の民族音楽のようなSEを非常にうまく本編に繋げていたり、キャラや設定を崩壊させずにここまで全く新しい物語をぶち込めているのは、途方もない労力で練り込まれたプロット力の高さの賜物を感じます。


しかしその一方で。


大人にも魅力的なストーリーであると同時にそのエンターテインメント力の高さから何よりも沢山の子供達に支持される事で社会現象にまで発展した「アナと雪の女王」シリーズ。

でありながら、今作では民族問題原罪という非常にシリアスなテーマを、特にわかりやすく咀嚼するわけでもなく直球で遠慮なく物語に組み込み、精霊などのディテールやバックグラウンドもほぼ一回きりの説明で観ている物が理解したテイで進行するので、ストーリーに関しては子供はまったくついていけないという致命的な不親切感があります。

これがこの作品の最大の欠点と言えると思いますね。

大人でも観直しやパンフレット等他情報からの補足説明が無いとすんなり理解はできないくらいです。

それくらい難解で重厚なストーリーは大人には魅力的ですが、子供支持が人気の屋台骨であったこのシリーズにとって、完全に子供を切り捨ててしまったのは大きく、特に日本等ではその影響が収益と評価にダイレクトに表れてると思います。

エンターテイメント性素晴らしい今作ではありますが、コメディ部分もどちらかというと大人向けなんですよね。メチャメチャ面白いんですけど。

キャラクター映画としての奇跡



難しい社会問題スピリチュアル要素宗教的観念等様々な要素を入れ込みながらも大元のメッセージは実は「シュガー・ラッシュ オンライン」にとても似ていて【変化】というものを大きなテーマとしています。

姉妹の絆を通して【変わっても変わらないもの】を描いているんですよね。

結末も「シュガー・ラッシュ〜」「トイ・ストーリー4」に良く似ています。

この時期のディズニーでの流行りとも言える非常に現代的な考え方に関して【ディズニーでやる必要があるのか】というのは「シュガー・ラッシュ〜」の記事で書いた通りです。

が、今作が「シュガー・ラッシュ〜」と決定的に違うのは、一作目をはじめこれまでの作品を通して姉妹の絆家族の絆、さらに姉妹とアレンデール国民の絆しっかりと描けている所にあります。

さらに言うと各キャラクターの個性やアイデンティティをこれまでしっかり描いてきたその上での、しっかり一作目からの地続きである上での展開になれているという事。

「トイ・ストーリー4」炎上した一番の理由はラストの決断が【これまで描いてきたウッディらしくなかった】からだと思うんです。


その点の説得力が今作は違うんですよね。

エルサが内心で自由を求める人である事アナの突飛な行動力と決断力クリストフの空気の読めなさとその包容力オラフの存在の意味、これらの事がこれまでしっかり描かれ、それを踏襲しての今作の物語なんです。

だから違和感がない。
物語に説得力がある。

キャラクターをこれまで手抜きなく掘り下げ描いてきた事の集大成だと思います。

これは見事だし、ある種の奇跡だと思います。

キャラクター力が起こした奇跡ですね。

だからこそ、今作はホントに過去3作品をしっかり抑えてから観て欲しいんですよね。

感じ方が全然違ってくると思います。


娯楽映画としてのとっておきの飛び道具



最後に、前述した通り今作は大人向けエンターテイメントとしては圧倒的なクオリティを誇っています。映像や音楽(こちらも今回は総じて大人向けでした)の美しさはもちろん、エルサを中心としたアクションシーンも圧巻の出来です。

「これってマーベルだっけ?」と一瞬錯覚する程にw

そしてやはり外せない話題がコメディ要素
これまでシリーズを観てきた人向けのギャグが多々あり、ハンス王子ネタ等ウエットなギャグが多くて本当に面白いんですが、やはりその中でも最大の飛び道具がこれ。



そう。

3分以上に及ぶクリストフの壮大なパロディギャグです。

これはもう最高でしたね。

爆笑させて頂きましたw

こういうくだらないの本当に大好物です。

ただこれは賛否両論で、間違いなくストーリーには不必要なシーンではあります。

ただ全体的に重い空気感の中で、この3分に及ぶ超くだらないギャグをぶっ込んだその勇気には心から拍手を送りたいですね。


ただこのギャグはどちらかと言うとアメリカ人向けではあるので、日本人ではピンと来ない方も多かったとは思います。

ただまぁ…最高でしたけどね。

いやぁ笑った笑った。


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まとめ【総力を注いだ全力の続編】




間違いなく一本の続編映画としては傑作です。

【一作目を越える続編を】という強い意思のもとであらゆる面白い要素を取り込み、正に総力を注いだ作品と言えるでしょう。

シリーズを全て観てきた大人からすれば文句なしに面白最高の続編だと自分は思います。

ただしその気概が強すぎた分、一作目にあった親しみやすさと大衆性はかなり薄まってしまい、ディズニー映画としては【相当人を選ぶ作品】になってしまった事は間違いありません。

あのアナ雪に子供がついていけなくなってしまったのはとても残念なことです。

ただ、ここまで徹底的に作り込んだオリジナルチームの努力と作品への愛には心から拍手ですね。

【前作の先を魅せること】【新たな展開で魅了する事】両方実現できてる続編ってなかなか無いと思うんですけど、この作品はそんな数少ない一つだと思います。

そして改めて、このシリーズのキャラクター達が持っている不思議な求心力の凄さを実感した作品でもありましたね。



「アナと雪の女王2」ディズニープラス現在配信中です。

1.2.3.作目と合わせて、是非ともアナ雪の世界に浸ってみて下さいませ♪



というわけで!


今回はこの辺で〜。


いつもこんな駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございます。感謝です!



では、また次回!






しーゆーねくすとたぁーいむ。




ps.

大切な事を書くのを忘れていました。
今作は、2013年の一作目から日本語版アナ役を演じてきた神田沙也加さんの最後の長編アナ雪作品となってしまいました。

本当に。原語版に全く劣らない最高のアナでした。個人的な意見ですが、ディズニー映画全作品の中でアナ雪のこの姉妹の日本語版だけが唯一原語版を越えていると秘かに勝手に思っています。

素晴らしいアナをありがとうございました。




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