(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アナと雪の女王 エルサのサプライズ
(原題:Frozen Fever)
2015年
監督
クリス・バック
ジェニファー・リー
※データ
初の続編となる約7分の短編映画作品。
監督・脚本をはじめ制作陣は生みの親であるオリジナルスタッフが再集結。
音楽もオリジナル同様ロペス夫妻が担当し、描き下ろしの新曲が提供されています。
キャスト陣もエルサ役=イディナ・メンゼル(日本語版・松たか子さん)、アナ役=クリスティン・ベル(日本語版・神田沙也加さん)を筆頭にオリジナルキャストが続投。
一作目の事件後、アナの最初の誕生日を描いたショートストーリー。
2015年、実写版「シンデレラ」と同時上映で劇場公開されました。
一作目制作に携わった全てのアニメーターがこの短編の制作に参加を希望した為、今作は短編作品としては異例のスタッフ数での制作となりました。
当初「アナと雪の女王」は続編制作の予定はありませんでしたが、この短編作品でオリジナルスタッフが集い今作がどれだけ愛されているか、そして今作のキャラクター達の不思議な魅力を再認識した事で長編続編への具体的な話し合いが始められたといいます。
※あらすじ
城が開かれ姉妹の絆が戻ってからはじめてのアナの誕生日。
「特別な日にしたい」とはりきってサプライズを準備するエルサだったが、その身体には異変が起き始めていた…
※感想
ロペス夫妻描き下ろし曲「Making Today a Perfect Day」に載せてほぼ全編ミュージカルで展開される演出は素晴らしいです。
制作スタッフ陣はこの短編作品をきっかけに【2】の制作を考えるようになったと言いますが、とても気持ちがわかる気がします。
ストーリーはいたってシンプルで、アナの誕生日の為に風邪の中頑張るエルサとそれを心配するアナ、そしてそれを縁の下でサポートする何処か抜けてるクリストフとコメディリリーフのオラフ。
ただそれだけなのですが、たった7分の中でこのキャラクター達に不思議と魅了されてしまうんです。
今までの空白を取り返そうと必死に頑張るエルサ、そしてそんな姉を気遣うアナ、そしてオラフやクリストフを含めてキャラクターとしてそれぞれが非常に魅力的である事に気付きます。
それはストーリーの薄いこういう短編作品だからこそなんですよね。
家族として少しずつ前に進んでいるという事を見せるための【それだけの続編】です。
こういう続編大好きです。
エルサがくしゃみをする度に発生するスノーギース、最後の氷の城の使い方、この辺のコメディ力も流石です。
あと、アナの誕生日を祝うためにラストで街の人々も城にやってきますが【アレンデールが開かれた国になってきている】という事をさり気なく描写しているのも良かったです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アナと雪の女王 家族の思い出
(原題:Olaf's Frozen Adventure)
2017年
監督
ケヴィン・ディーターズ
スティービー・ワーマーズ
※データ
シリーズ3作目となる約22分の中編映画作品。
所謂【トゥーンスタジオ方式】で当初はテレビ放送用に制作された作品で、制作スタッフは一新され、監督には「グーフィーのホームシアター」や「ネッシーの涙」等短編作品を中心に手掛けてきた2名、脚本にはマーベルのジャック・シェイファーが採用されています。音楽はエリッサ・サムセルとケイト・アンダーソン(オリジナルで音楽を担当しているクリステン・アンダーソン・ロペスの妹)が4曲のオリジナル楽曲を作成・提供しています。
キャスト陣は今回もほぼオールキャストで続投。
一作目の事件後、アナとエルサの最初のクリスマスを描いたストーリー。
テレビ用に制作された作品ですがその出来の良さから急遽劇場作品に昇格され「リメンバー・ミー」と同時上映で劇場公開されました。
原作の魅力を引き継ぎながらも子供も大人も楽しめるわかりやすさと音楽の良さから、現在でも【隠れた名作】として高い支持を獲続けています。
※あらすじ
城が開かれ姉妹の絆が戻ってからはじめてのアクリスマス。
街の人々にサプライズパーティーを用意したエルサ達だったが「家族のクリスマスの伝統を大事にしたい」と街の人々は家に帰ってしまった。
我が家には「家族の伝統がない」事に落ち込むアナとエルサを見て、オラフは二人の為にクリスマスの伝統を探そうとスヴェンと街に繰り出す。
一方アナとエルサは城でとある小箱を発見する。
そこに入っていたのは二人をずっと繋いできた姉妹の【伝統】だった…。
※感想
いやぁ…。もうこれはただの名作ですね。
前作に引き続き、いやそれ以上に【姉妹、家族、国が少しずつ前に進んでいる】様子がとても丁寧に描かれていますし、エルサの【ほとんど手袋の私の世界】とかクリストフの【トロール式クリスマス】【スヴェンの言ってること全くわかってない説】とか小ネタやギャグもとても面白く、キャラクターの掘り下げがしっかりされているので、よりそれぞれのキャラに愛着が湧きます。
しかし何よりも、このエピソードは「アナと雪の女王」という物語の根底に関わるとても重要なテーマに言及している作品であるというのが最大のポイントだと思います。
それは…
【オラフの存在とは何か】
です。
このシリーズの中でもかなり大事なトピックを短い時間の中でとても丁寧に描いています。
オラフ=姉妹の唯一の絆
なんですよね。
小さい頃悲しい運命によって離れ離れになった姉妹を唯一繋いでいた絆、それがオラフです。
そう、まさに「雪だるまつくろう」。
この部分をはじめてしっかり描いた作品なんです。
地味だけど本当にシリーズの中でとても大事な作品だと思います。
と同時に、クリスマス映画としても素晴らしい作品です。
二人の為に一生懸命なオラフもとても健気で、そして街の人達がアナ達と一緒になって懸命にオラフを探し最後は一緒にクリスマスを祝うラストのシーンは正直何回観ても泣いちゃいますw
本当に、オリジナルではない制作陣の作品とはまるで思えない程「アナと雪の女王」という作品をしっかりと掘り下げ、シリーズにより深みを持たせてくれた名作です。
音楽も本当に素晴らしいです。
特にラストで歌われる「when we're together」は、アメリカの批評家に【「Let It Go」の跡を継ぐ曲】と評された程の名曲です。
アナ雪が少しでも好きな人で未見な方が居たら、是非とも直ちに観て欲しいですねw
それくらい素敵な作品です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まとめ【シリーズ作品として】
今回の記事で何が言いたかったかというと、アナ雪はシリーズ作品であり1作目「アナと雪の女王」の直結の続編はこの2作品だという事なんです。
つまり…
【この2作品を観てから'2'を観て欲しい】
という事なんですよね。
本当に、感じ方がまるで変わると思います。
実際「アナと雪の女王2」は、端々でこの2作品があることを前提とした作りになっています。
よく感想などで「一作目で折角幸せになったのにそれをいきなりぶち壊すような二作目」みたいなのを目にしますが、そうじゃないんです。
1と2の間にこういう出来事があり、姉妹も家族も国も少しずつ前にしっかりと進んでいたんです。少しずつ絆を強めていったんです。
その上での2の出来事なんです。
それをもっと沢山の人達に知ってほしいなぁと思うんですよね。
個人的に、アナ雪という作品の肝は間違いなくキャラクターだと思います。
そしてそのキャラクターを理解する上で、この2作品は絶対に外せない内容になっています。
まだ一作目しか観たことないという方は、是非この短中編2作品を観てから、2を観てほしいです。
それと、一通り観てるよ〜という方も、機会があれば是非もう一度シリーズ通しで見直して欲しいですね。
きっと新たな気付きや感情に出会えると思います。
純粋に単体の短編作品としてのクオリティも本当に素晴らしいですしね。
「エルサのサプライズ」そして「家族の思い出」。
2本共に現在ディズニープラスで配信中です。