はいどーも。
今回は奇才ティム・バートンによるディズニー作品を一つ語っていこうと思います。
ティム・バートンに関してはたまたまこのブログであまり語る機会がありませんでしたが、彼の作品は実写・アニメーション問わず本当に大好きです。
特に『ビッグフィッシュ』という実写映画は、おときちの生涯の10本に間違いなく入る程大切な作品だったりします。
もちろん「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」も大好きですよ〜。
彼とディズニーは、古くティム・バートンのアニメーター時代からの付き合いで、長い年月の間にくっついたり離れたりを何度も繰り返しているまるで幼馴染のカップルのような関係w
ただ、2019年の実写版ダンボで決定的に完全決別してしまった様だと巷では言われてますね。
当人同士はどうかわかりませんが、端から作品を見てるとこの両者は間違いなく相性が良いと思うので、是非またいつかタッグを組んで欲しいものです。
さて、前置きが長くなりましたが今回はそんなティム・バートン×ディズニー作品の中から、こちらの作品をピックアップしていきます。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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フランケンウィニー
(原題:Frankenweenie)
2012年
監督
ティム・バートン
データ
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズとティム・バートン・プロダクションズの共同制作で2012年に公開されたストップ・モーションによるアニメ映画。
監督はもちろんティム・バートン。
脚本にはバートンのお抱え脚本家と言っても過言ではないジョン・オーガスト。
音楽には「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」を始めこちらもティムと何度もタッグを組んでいるダニー・エルフマン。
まさに鉄壁のティム・バートンチームによる制作です。ディズニーからは製作総指揮にディズニールネサンスの立役者ドン・ハーンが名を連ねています。
ディズニーアニメーター時代のティム・バートンが1984年に初めて制作した中編実写映画を原作としたセルフリメイク作品。
この1984年版は当時ディズニーの長編アニメーションと併映される予定でしたがPG指定を受けてしまったことで併映を見送られ、お蔵入りになってしまった所謂ティム・バートン幻の作品として現在では非常に有名です。
と同時に、全編通して有名小説・映画「フランケンシュタイン」へのオマージュ作品でもあります。
変わり者の少年ヴィクターが事故で失った愛犬スパーキーを科学の力で復活させる騒動を描いたファンタジーホラー。
ティム得意のストップモーション、さらに全編モノクロによる手法を使った個性的なアニメーションとなっています。
さらにモノクロ及びストップモーションとしては世界ではじめてIMAX 3D上映が実施された映画でもあります。
主役のヴィクター役を「オザークへようこそ」等でも知られるチャーリー・ターハン。
日本語版は吉永拓斗さん。
スパーキー役はフランク・ウェルカー。
この人はホントに凄い人で、ディズニーを始め映画やテレビのありとあらゆる生き物の声を担当しているれレジェンドです。
(アラジンのアブーやラジャー、トイ・ストーリーのブルズアイ、ヘラクレスのペガサス、ポカホンタスのフリット、ライオンキングやブラザー・ベアの動物の鳴き声全般、プーさんシリーズのハチ、ダイナソーの恐竜、さらに東京ディズニーシー、センター・オブ・ジ・アースの地底生物などなど…)
ヴィクターの母親をホーム・アローンやナイトメア〜のサリー等で知られるキャサリン・オハラ。
父親にはコメディ役者でありディズニーではトレジャー・プラネットのベン役なども務めたマーティン・ショート。
さらにヴィクターの級友エルザには「シザー・ハンズ」や最近では「ストレンジャー・シングス」「ホーンテッドマンション」にも出演している有名女優ウィノナ・ライダー。
と、実に多彩な顔ぶれが集まっています。
(日本語版はそれぞれ湯屋敦子さん、平川大輔さん、南里侑香さん)
さらに日本語版ゲスト声優としてハリセンボンのお2人がコンビ揃って出演しています。
今をときめくティム・バートン知る人ぞ知る名作のセルフリメイクとあって期待値は非常に高く、公開時はディズニーでもかなり力の入った大規模な宣伝とキャンペーンを展開。
映画公開より先行してディズニーストアでのオリジナルグッズ販売等も行われましたが、公開後は興行収入・評価共に大成功とは言い難い結果に留まりました。
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あらすじ
最強タッグが裏目に出た見事なまでの相殺
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20231029/13/yuzupill/c1/15/j/o0569030315357211546.jpg?caw=800)
上でディズニーとティム・バートンは基本的に相性が良いと書きましたが、今作に関しては奇跡的にお互いの良いところをモノの見事に相殺しあっています。
ティムのコワカワイイ、ホラーファンタジーな世界観とディズニーのカラフルなエンターテイメントの世界観、どちらもやろうと試みた結果、どちらも魅力を出しきれず中途半端になってしまっています。
ティム・バートンはオリジナルにあった物々しさや不気味さや近辺の作品での持ち味だった不条理な不思議世界観が全体的に不足しているし、ディズニー得意のドタバタエンターテイメントとしても、特に後半やろうとしているのですが勢い不足でズバッと来ない。
お互いのやりたい事が見事に噛み合っていない気がしてなりません。
結果どちらにも振り切れない非常に中途半端な平凡な作品に落ち着いてしまったような気がします。
ストーリープロット構成の粗さ
前半は特に独特な世界観と多彩なキャラクターがどんどん登場してワクワクが強かっただけに、その分スパーキー復活後の蛇足感が激しく、最後までそれを拭えませんでした。
せっかく復活したスパーキーとほとんど一緒にいないヴィクター。というか触れ合いのシーンが少なくて。。
急にクラスメイト達の画策がメインになっちゃって、まったくストーリーに引き込まれず。
クセの強い同級生達やお隣さんの町長、科学の先生、等など魅力的なキャラクターが沢山登場するのですが全くうまく扱えていません。
特にエルザは序盤から個性的な雰囲気で思わせぶりというか重要人物と思わせておきながらヴィクターとの絡みもほとんどなく、ただクライマックスでヴィクターに助けられる為だけのキャラクターで拍子抜けでした。
町長もキーパーソンになるかと思いきや最後はなんか急に普通のモブになってるし。
トラブルを起こす級友達ですが、その後はなんのフォローもなく「で?」ていう、ただトラブルを起こす為だけのキャラクター達。
フシギちゃんの猫によるう◯ち占いはいったい何だったのか…
この辺のキャラクターの持ち腐れ感はもったいなかったです。
クライマックス以降のストーリーもなんか露骨にご都合主義で、ヴィクターの両親の変わり身も含めテーマであるはずの【死者を残された者のエゴで蘇らせる行為】への葛藤とか善悪とかが全く描かれていないんですよね。
そんな深堀りしなくても良いけど、ここは形だけでもしっかりやって欲しかったです。
【愛がなければ怪物、愛があればヒーロー】というメインコンセプトはある程度伝わるけど、このコンセプト自体がなんかちょっと違和感というか少しズレてる感じがしちゃうんですよね…
【スパーキーはフラン犬だけど人を助けたからオールオーケーで皆に認められて、また死んだけど愛があったから生き返りました。めでたしめでたし…】
というのは流石にちょっと陳腐では…と…。
エンタメ性の弱さ
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20231029/13/yuzupill/50/37/j/o0728041015357211552.jpg?caw=800)
そもそもこの作品をモノクロにした意味は何だったのか。
【オリジナルがそうだから】という以外に理由はあったんでしょうか。
必要性が全く感じられません。
後半の移動遊園地やクライマックスのドタバタ、電気の表現……間違いなくカラーにした方がエンターテイメントとして何倍も楽しめる映画になっていたんじゃないかと思わずにいられないんですよね。
この辺も前述したティム・バートンのやりたい事とディズニーのやりたい事が噛み合っていない要素の一つです。
そもそもどんな種類の人達に観てほしいのか、ターゲットがわからないんですよね。
子供が観るには地味で刺激が強い反面、スパーキーのビジュアルやモーション、展開の単純化等は明らかに子供向けに寄せている。
大人が観るには退屈な反面モノクロとかにしてソレっぽさを出している…。
そんな仕上がりになっちゃってます。
クライマックスのドタバタも昨今のディズニーにしては明らかにパワー不足です。
風車小屋の火事のシークエンスなんか、フランケンシュタインもまぁそうですけど短編映画「ミッキーの愛犬」そのまんまですよね?
明言はないですけど多分これオマージュですよね?その辺もわかりにくい!w
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