ディズニー映画語り マッチ売りの少女 | すきなものしか語れない

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ディズニー映画を自己満で語るつまらないブログを粛々と書いています。一投稿の文章が兎に角長いです。ごめんなさい。


はいどんも。


今日はディズニーの原点である短編映画シリーズについて1本語っていきたいと思います。



ディズニーは元々短編カートゥーン主戦場小さな映画制作会社でした。


「白雪姫」の大成功後そのメインは長編アニメーション制作へと移行していく事になります等のキャラクターシリーズやシリー・シンフォニーシリーズ等をはじめ、数は減っていきながらも原点である短編アニメーションの制作は今日まで継続して行われ続けています



最近ではディズニーの長編作品と併映という形でコンスタントにリリースされていますよね。


何かのシリーズや続編も多いのですが、そのどれにも属さない単発の短編作品の中にも、あまり知られてはいませんが素晴らしい物が沢山あります。


特に2000年代〜の短編作品は、メインである長編アニメーション浮き沈みとは裏腹に非常にクオリティと評価の高い物がとっても多いんです。



アカデミー賞受賞作品いくかあったりするんですよ



今回はそんな作品群の中から、ディズニーが誇る偉大なアニメーター唯一の監督作品であるこちらの1本について語っていきます。



今回はそんな作品群の中からディズニーでは非常に珍しい試みに挑戦したこちらの作品について語りたいと思います。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  マッチ売りの少女

(原題:the little matchgirl )

2006年

監督

ロジャー・アラーズ



データ


ディズニーが2006年フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で初公開した短編アニメーション映画。


後にDVD「リトル・マーメイド プラチナ・エディション」特典映像としてリリースされました。


アンデルセンの有名な同名童話原作としています。


舞台となる国が変わった以外大きな改変が無く、ストーリープロット等はほとんど原作に忠実に作られている、ディズニーの中ではかなり珍しい作品です。


監督は「ライオン・キング」の大成功でも有名なロジャー・アラーズ


ストーリーライトは監督と兼務ロジャーに加え「ダイナソー」の監督で知られるラルフ・ゾンダグや様々なディズニー作品のストーリークリエイトに携わって来たマーク・ウォルトンなど。


元々は中止となったファンタジアの続編「ファンタジア2006」の為に制作された作品。


なのでフォーマットやアニメーション形式ファンタジアシリーズのそれに準じています。(BGMはクラシック音楽のみセリフやSE一切なし)


使用楽曲はアレクサンドル・ボロディン「弦楽四重奏曲第2番 ニ長調」の第3楽章

演奏はエマーソン弦楽四重奏団


正式な劇場公開がほぼ無いため認知度は低ものの、数あるディズニー短編作品の中でも知る人ぞ知る隠れた名作として今も高い人気と支持を獲続けている作品です。


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あらすじ



舞台は一昔前のロシア。

クリスマスで賑わう街中で、貧しく家のない少女が笑顔でマッチを売り歩いていた。
しかし近代化が進む中でマッチの受容は減り、はなかなか買ってくれる人は現れない。

その晩。

少女は路地裏で飢えと寒さを必死に堪えながら夜を越そうとしていた。

しかしあまりの寒さに耐えきれず、売り物のマッチに手をだしてしまう。

わずかな炎でかじかんだ手を暖める少女。

そんな少女の前に、マッチの炎はとある幻想を見せ始める。

それは少女にとってとても幸せで暖かいひとときだった…

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感想



この作品が発表されたのは2006年


俗に言う第三の暗黒期の真っ只中です。


そして、ディズニーが長編手描き2Dアニメーションから撤退して2年後の事でした。


【もしもディズニーが2Dアニメーションから撤退してかいなかったら…。】


【もしもファンタジア2006が実現していたら…】


そんな「もしも」をどうしても考えずにはいられない、素晴らしい作画アニメーションクオリティ


そして圧巻の表現力です。



少女の儚い表情。街や小物のディテール…


どれをとっても本当に美しいです。


台詞の無いファンタジア形式のアニメーションですが、そんな事は全く気にならないくらいに、観ている人を引き込む圧倒的な作品力があります。


と言うか正直この「マッチ売りの少女」という物語には、もはや台詞なんていらないな…とこの作品を観ていると痛感してしまいます。


明確な筋のある童話の物語一切のセリフ効果音無しで描くというのは実はかなり珍しい試みでありかなり難しかったと思いますが、物語のメッセージ概要芯の部分まで確実に伝えきるその構成力表現力は…本当に物凄いと思いました。



後ろで流れているノクターンも、アニメーションの細部と完全にマッチングしているかはとして、この作品の空気感にはピッタリとハマっていて心に染み込んできます。



個人的にディズニーが描く冬の少し物悲しい作品雰囲気大好きなんですが、この作品はその代表格と言えます。


これ前からずっと思ってたんですが、ディズニーってホント「冬」という季節を描くのがとても得意なスタジオだと思うんですよね。





そしてこの作品のもう一つの大きな特徴は、ディズニー映画ではかなり珍しく原作にとても忠実設定ストーリープロットになっているという点。


ここまで改変のない原作有ディズニーアニメーションって、もしかしたら他に無いかもしれないです。



悲しくもありある意味ハッピーエンドとも言えるそのラストまでそのまま描ききっています。


これは制作側からしたら実はかなりの挑戦だっただろうな…と。


そして、本当に英断だったと思います。



話によると、ディズニー上層部はハッピーエンドへの改変をやはり求めたそうなんですが制作側が最終的に「マッチ売りの少女はこのラスト以外考えられない」と判断し、この形で押し切ったそうです。


あえて具体的にどういうラストかはご自分の目で感じてほしいのでここでは書きませんが、昔、今と同じ人間が生きる世界のあちこちで実際にあったかもしれない【とても悲しく儚い、小さな希望の物語】です。




これをしっかりとディズニーのフォーマットを通して描ききった事心から拍手を送りたいです。


ディズニーには原作改変という強いイメージがありますが、実は地味ながらこういう原作のメッセージダイレクトに発信するような作品も中にはあるのです。





アニメーション、演出、ストーリー…そして音楽。

全てが練り込まれた正に圧倒的なクオリティと情熱


短編作品ながら長編映画を観たあとのような余韻に浸れる素晴らしい一本です。




もしも…



手描きアニメーション撤退事件がなかったら


そして「ファンタジア2006」実現していたら…


この作品を観ていると、どうしてもそんな【もしも】を思わずにはいられません。



それくらい、ディズニーの手描きアニメーションの素晴らしさ、そしてシリー・シンフォニーファンタジア様式といった【ウォルトが目指したアニメーション芸術】の美しさと完成度の高さを充分に感じさせる、そんな素敵な作品でした。





「マッチ売りの少女」は現在ディズニープラスで配信中です。






この隠れた名作をぜひもっと沢山の人に観ていただきたいです。



7分という尺でとっても見やすいですし。



特にファンタジアファンタジア2000がお好きな方には一度はチェックして頂きたいですね。



機会があればぜひ…!



はい。


というわけで。



今回はこの辺で〜。


いつもこんな駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございます。感謝です。



ではまた次回!



しーゆーねくすとたぁいむ。





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