はぃどぅも。
今回は恒例の?ディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについてはこちらの記事を参照。
いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実は素敵な作品も沢山世に送り出しています。地味に、、ですが。
今回はそんなトゥーンスタジオが勢いに乗っていた時期の、こちらの劇場用作品について語っていきたいと思います。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240222/23/yuzupill/f7/18/j/o0509075515404782312.jpg?caw=800)
ジャングル・ブック2
(原題:The Jungle Book 2)
2003年
監督
スティーヴ・トレンバース
データ
1967年の名作「ジャングル・ブック」の36年ぶりの正式続編。
トゥーン・スタジオとしては前作「ピーター・パン2」に続く2年連続の劇場公開作品となりました。(日本ではビデオスルー)
制作総指揮を担当したのは「ピーター・パン2」「魔法にかけられて」のクリストファー・チェイス。
監督は「わんわん物語2」でアニメーション監督を務めたスティーブ・トレンバース。
脚本は多数のプーさんシリーズを手掛けた事でも知られるカール・ゲールズと多数のトゥーンディズニー作品のクリエイターとして活躍したエヴァン・スピリオトプロス。
音楽はジョエル・マクニーリー。
数多くのトゥーン作品音楽を手掛けている実力者です。
楽曲はポール・グラボウスキーとロレーヌ・フェザーにより新曲が制作され、オリジナルのシャーマン兄弟やテリー・ギルキーソンによる楽曲もアレンジして使用されています。
物語は前作の後日談。原作からは離れたオリジナルストーリーで展開されます。
前作に引き続きオオカミに育てられた人間の子供モーグリが主人公。
キングダムハーツのソラ役やスピルバーグ作品「AI」でも有名なハーレイ・ジョエル・オスメントがボイスを演じました。
日本語版は村上想太さん。
くまのバルー役にはジョン・グッドマン。モンスターズ・インクのサリー役等で有名です。
日本語版は郷里大輔さん。
お馴染みのジャングルの面々も登場する中、前作でモーグリが誘惑された女性シャンティも登場。「ティンカー・ベルシリーズ」のティンカー・ベル役を専属で演じたメイ・ホイットマンがボイスを担当しました。
日本語版は紗栄子さん。
また、前作にも登場したハゲワシグループの新顔ラッキー役にはなんとあのフィル・コリンズがゲスト出演しています。日本語版は江原正士さん。
その他のキャスト陣も総じて、全体的に非常に豪華な顔ぶれが集結しているのが特徴的です。
実はトゥーン制作作品としてはかなりの高成績を残しており、本家のファンタジア2000やラマになった王様等よりも高い興行収入を獲得しています。
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あらすじ
オオカミに育てられた人間の子供モーグリは前作での騒動を経て人間の村で暮らす事になる。
密かに想いを寄せるシャンティやその家族等と平和な日々を送るが、ジャングルでの暮らしや親友のクマ・バルーの事が忘れらない。
ある日モーグリは村人達をジャングルに連れて行こうとして養父に厳しく叱られ、村での生活に嫌気がさしてしまう。
一方ジャングルのバルーもモーグリの事が忘れられず、黒豹バギーラの制止を振り切りモーグリを連れ出すため村に向かってしまう。
その頃、凶暴な虎シア・カーンもまたモーグリへの復讐を企み村へ向かっていたのであった。
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感想
全体のクオリティとしては確かに他のビデオ用続編よりは良く出来ていますが、劇場作品となると正直少々微妙な感じです。
ピーター・パン2の成功もあり急遽ビデオスルーから劇場用に昇格したらしいですが、なんかそれが透けて見えちゃう感じもあります。
ディズニーの続編シリーズの中ではかなり頑張っている作品なのは間違いないです。
ウォルトが最後に残したジャングル・ブックの続編という事もあり、かなり前作の作画や音楽を大切にしている姿勢は良かったですし、そこにしっかりストーリー性、ドラマ性がプラスアルファされているので前作の独特な雰囲気が苦手だった人も見易くなってるとは思います。
何より賛否のわかれるラストだった前作のその後をしっかり見せてくれているので、一作目を観た方は一度観ておいて損はないと思いますね。
作画と音楽
特にバルーやシア・カーン、カー等は前作の雰囲気をしっかり守りつつ表現できてますね。
モーグリやシャンティ等の人間勢に関しては現代ディズニーらしく少々リファインされてる感じです。
特にバルーのモーション等はかなり研究されてるなぁと感心しました。
ジャングルの背景描写も多少簡素化されてますがビデオスルー作品よりは遥かに拘って描き込まれてます。
アニメーションに関してはそこそこといった感じ。本家ほどの滑らかさはやはり無いです。
ただやはりこの時代の続編というのは難しくて、コンピューターによる画質が綺麗になった分当時のあの独特の手描きの味わいというのは無くなっちゃってます。
ティガー・ムービーとか101匹わんちゃん2等ではこの部分も頑張って再現していたんですけどね。
音楽に関しては新曲も盛り込みつつ前作の曲を出し惜しみなくふんだんに使用しているのが非常に良かったですね。
やっぱりバルーといったら「ベア・ネセシティ」聴きたいですからね。
ただミュージカルシーンになるとやはり前作とのクオリティの違いが顕著で…
特に新曲のミュージカルの出来はちょっと…
まぁ仕方ないですが。
ドラマ性の追加
一作目のジャングル・ブックって結構テーマは重厚なのにストーリー性が全然無くて、実質アニマルキャラクターショーだったんですよね。
それが良さでもあり欠点でもあったんですけど、今作では明確な筋と、モーグリ達の感情変化もわかりやすく表現することでドラマ性も追加していて非常に誰にでも見易い仕上がりになっている為、前作の独特な雰囲気とクセはほとんどありません。
ただそれが功を奏しているかというと微妙で、ジャングル・ブック最大の個性が無くなってしまっている感覚も正直否めません。
アクを抜いてみたら何も残ってなかった…みたいな。
極端ですけど。
これはバンビ2を観たときもちょっと思いましたね。
ストーリーに関してはやっぱり例えばモーグリのワガママに周りが振り回される展開もジャングルと人間界を行ったり来たりのすったもんだで最後はシア・カーンてのも、前作とやってることは一緒でそこに人間達が加わった以外新鮮味はないんですよね。
ただ前作のキャラクターやプロットは大事にしているのでぶち壊されているような矛盾とかはほぼなく、(強いて言えば人間を恐れている筈のシア・カーンがいくらモーグリに復讐したいからって自分から人間の村に行くか?とかは思いましたが)まぁ驚きはないけれど非常に安定した、前作ファンもそうでない人も、なんなら前作未見でも、誰でもある程度楽しめる内容になってるのは間違いないです。
キャラクター描写
これはかなり良かったと思います。
前作程ではないですが各キャラクターの面白い所をちゃんと捉えてましたね。
キング・ルーイが居ないのは残念でしたが。
特にモーグリとバルーの関係性とか2人揃ってのお騒がせぶりとかはしっかり描かれてるので、この点がしっかりジャングル・ブックしてるなぁと思えるポイントですね…。
あと何気にビートルズフィーチャーのハゲタカ四人組に新顔が居て、この新キャラがなかなか良かったですね。
前作キャラだけに頼らない素敵な工夫だと思いました。
しかもこのキャラクター、なんとボイスアクトはあのフィル・コリンズというサプライズ付きです。
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まとめ【安心して観れる高品質の劇場用続編】
ピーター・パン2程のクオリティではないですが、劇場用の正統派続編としてしっかりと丁寧に作られた一本です。
めちゃくちゃ良い!わけではないですがこれといって大きなマイナスポイントもなく、ジャングル・ブックが好きな人は問題なくある程度楽しめる内容ですし、そうでない人にとっては2の方が色々な意味で見やすいかもしれません。
両方観てない人は意外と2→1なんて見方も良いかも。
あとは1のラストに釈然としない方は2はマストで観た方が良いと思います。
ただまぁモーグリの好感度は一ミリも上がりませんが…
もう少し続編ならではというか、続編の必然性がわかるような、そういう個性や圧倒的な拘りが欲しかったですね。
現在はディズニープラスにて配信中で気軽に観れますので1だけしか観てないって人は、時間があったら見ておいて損はないです。
ただ、何が何でも観て!とは言いませんが…