プーアル茶を知る~雲南省の地形と河 | 船橋市茶文化資料室

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2月月茶会で話した瀾滄江とその周辺のプーアル茶産地。以前のブログを思い出してリグログします~この地形は茶の生育環境はもちろんのこと、周辺の少数民族の移動経路を理解するのも大変役に立ちます。ミャンマーのサルウイン川やラオスのメコン川の流域も良質の大葉種茶がある。3月の茶会はこれらの地域のお茶も視野に入って『茶の民族誌』の内容に照らしながら話していきたいと思います。

 

雲南省の地形地図を広げてみると、南東部と比べ険しい西北部の山峰(横断山脈)を縫うように、西北から南東へ二つ大きな川が平行して流れている。川の名前はそれぞれ、怒江と瀾滄江(らんそうこう)。両川ともチベット高原を源流とし、「怒江」の上流、チベット自治区の部分はチベット語では「那曲河」と言い、雲南省の南北に貫流しながらミャンマーに入り、ミャンマー語ではサルウイン川と呼ぶ。一方同じ雲南の南北を流れる瀾滄江は、更に南下し、シーサンパンナ南端と接するラオス領内に入り、「メコン川」、漢字で湄公河と呼ばれる。

 

縦横に交差する山峰と大河が、中国で最も複雑かつ多様性に富む地域を作り出す。この壮大な自然環境と共に、雲南省は、中国の中で少数民族の最も多い省で、古くから茶の栽培と利用をされていることはよく知られている。

 

 

雲南のお茶と言えばプーアル茶が最も知名度が高く、紅茶、緑茶、ジャスミン茶等も生産されている。茶の生産都市および自治州はシーサンパンナ、普洱、臨滄、保山、徳宏、文山、紅河等が挙げられ、主に西南部亜熱帯地域に集中している。異なる茶産地エリアは、気候や茶樹の生態環境によって異なる茶の風味を醸しだし、雲南茶業界では四大エリアと称している。

これらの茶区について語るなら、個人的に一番強調したいのは、やはり樹齢300年以上の古樹茶園が点在することである。また現在中国で発見されたカメリアシネシス47種在来種とその3変種の中で雲南に特有の品種は26種類がある。真に優良原種茶の宝庫である。

 

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コロナウィルスのニュースを聞きながら冰島村のプーアル茶を淹れる。熱いお湯を注いだ途端、甘い香りが漂う。そこに遥か遠い昔の懐かしい故郷の匂いや情景が浮かぶ。コロナを忘れた昼下がりのひと時である。(20200307 by Jun)