H足じゃなくて蛇足 | 神田勇哉のブログ

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フルーティスト 神田勇哉の日記


本日は真面目にフルートの楽器の話



私は高校の時に、居石先生に

「今度楽器を買う時は

足部管にキイが三つ付いてる奴がいい!」


と言った記憶があるが、


それがH足部管の事。

(厳密に言うと裏D#も入れてキイカップは4つついている。)



クリスマスコンサートなる発表会を

居石先生は毎年主催していて、

その中で一人一人半音階で上から降りて来るというイベントをやるんだけど、


私が小学生の時に高校生のお姉さんが

一番下のドよりも半音低い シを吹いた時


「す…すげー!!カッコいい!!」😲


と、その衝撃は半端ないものだったのだ。




という事で、神田勇哉少年は

高校で念願のADのH管モデルを親に買ってもらい、

「吹奏楽部で唯一のH管奏者」としてデビュー、


「高音の音程が上がりにくくなる」という特徴を何かで読んで、

「それって強めに吹き込んでも良いって事じゃね?」

「って事は今までよりもガンガンとフォルテで吹けるんだ!✨」


とアホみたいにブリブリ演奏していた。




その後大学に入り 飲み会で、

「絶対H足っしょ!」とイキってる神田勇哉に


当時大学院だった北川森央 先輩が

「いやいや…C管が良いのよ。」なんて話をしてくれたり


留学先で出会った 知久翔くんが

「僕は絶対 C管派です。」

なんて言ってて


「色んな考えの人がいるんだな」と思った事もあったが、



何も考えずにC管の楽器を買ってしまった後輩が

下のHが頻出する楽曲、武満の「エア」を

「演奏出来ないんです」

と言っていたり


おなじくC管の楽器を買ってしまった多久さんが、

H管のみを アホ高い値段で別で購入してたり

(彼は大学時いつもフルートケースとH足部管のケースを二つ持ち歩いていた。)


ヨーロッパのプロ奏者は例外なくH管を使ってたり…



「真のフルートとはH管なのだ!」と思ったまま時間が経過。


結局 私は大学、留学、そしてプロオケに入団するまで

H足でずーっと過ごしてきた。





最近ふと、自分の楽器にC足部管をはめて吹いてみた。


こ…これは…



✨「フルートとは…C管と見つけたり」✨



手のひらクルー!


軽くて、煌びやか!

音の立ち上がりも良く 

音域の上から下まで自由自在!


激しく吹き込んだら音程は確かにぶっ飛んで行くかもしれない


だが、それがどうした、


というか、むしろそれが良い!



とにかく明るくて音色が弾ける様に変わり

ストレスなく音楽表現が出来るではないか。




今思えば前述の

北川先輩や 知久くん、


そして 高木綾子さん、ブリアコフ、白尾彰先生

ランパル などなど


C管愛好者の皆さんは

こんな華やかな世界を表現していたのか…!!

(知久くんもブリアコフも最近はH管らしいが。)




という事でここ一年はずっとC管。


オーケストラのフォルテでブリブリ吹く所なんかは、

周りの木管のみんなは


「うへぇ、神田 音程 たけえなぁー」


と思ってるかもしれない。笑




C足をずっと使っていて、

H足に戻しても、すぐに

ドとシの小指の使い分けが出来るのは不思議だ。


長年の訓練て凄い!