1月10日(火)は、19時から20時まで
『認知症の人のためのケアマネジメント センター方式(以下、センター方式)』
のZOOM勉強会を行いました。
この勉強会は、毎月第1火曜日19時から20時からの開催で、毎回1枚のシートを活用した演習方式です。
各人、今関わっている利用者の方(対象者がいなければ身内でも可)を対象にします。
平成29(2017)年12月から令和3(2021)年4月までの約3年間(2巡目まで)は、私が講師役を務めてきましたが
令和03(2021)年05月(3巡目)からは、各シートのファンにシートの熱烈アピール(講師役)をしてもらうことにしています(笑)
今回は、『A-3』シートを使いました。
センター方式は、シートの1枚目から順に使っていくものではなく、欲しい情報を目的的に収集していくものなので、この勉強会もみんなで選んだシート順(笑)というランダムな順番にしています。
シート解説はこれまでの記事に譲ります。
A-3シートは、基本情報(私の療養シート)という名前で
「今の私の病気や、のんでいる薬などを把握し、健康で安全に暮らせるように支援してください。」
(薬剤情報提供シートがある場合は、コピーをこのシートの裏に添付してください。)
と言っています。
私がこのシートで注目しているのは右下の
今の暮らしの中で気をつけていること(アレルギーや禁忌なども記入
※便秘しないため、足が弱らないためなど、本人や家族が気をつけていることを具体的に記入しよう
という欄です。
ここは、予防的な視点だと思います。
国は、認知症施策推進大綱
で、共生と予防を車の両輪と言っています。
ところが、介護の教科書等に予防はほとんど載っていません。
自ずと現場の人は、予防について学ぶ機会はないといえます。
これで、予防はできるのでしょうか。
予防は、現場の人に足りない視点といえます。
私は、今年の1月1日に電子出版した『介護の互助論』
で詳しく述べさせていただいておりますが
要支援・要介護状態になる原因は
●ロコモティブシンドローム(運動器の障害)
●フレイル(高齢による衰弱)
●認知症
●脳血管疾患
などが挙げられています。
令和元(2019)年国民生活基礎調査より
予防には
●一次予防(一般の人)
●二次予防(要支援状態の人)
●三次予防(要介護状態の人)
というステージがありますが(国が言ってます)
現場では、自立支援という表現に置き換えられています。
この影響のせいか、三次予防は
できることはやってもらい、できないところは支援する
という視点どまりのような気がします。
でも今(21世紀以降)は運動によって(何歳になっても)脳の神経細胞は増えるという研究が定説になっています。
つまり、認知症になっても運動し続けることは大事です。
しかし、これを学ぶ機会が現場の人はありません。
結果、利用者の運動は足りない状況にあります。
運動といっても立位でもいいのです。
ユマニチュードケアのイブ・ジネストさんは
『「ユマニチュード」という革命』の中で
「これまの経験から一日のうで20分立つことができたら、寝たきりには決してならない、言い換えれば亡くなるその日まで立つ機能を保てることがわかっています。少しずつの時間の総計で20分であればいいのです。それができたら死ぬ日まで立つことができる状態でいることができます。」
と述べられています。
このシートでは、薬にも触れないわけにはいきません。
認知症の薬は大きく
●抗認知症藥(中核症状に作用)
●抗精神病薬(行動心理症状に作用)
に大別できます。
抗認知症藥は、現在4種類あり、錠剤、液剤、添付藥などさまざまです。
作用は、アセチルコリンを増やしたり、グルタミン酸を減らしたり、脳内伝達物質を調整します。
抗精神病薬の多くは、ドーパミンを減らす、これまた脳内伝達物質を調整するものです。
副作用としては、パーキンソン症状が現れるので、転倒・誤嚥(高齢者の事故)に要注意です。
いずれも
病気(脳の神経細胞が死んでいく)の進行には関係なく
症状(中核症状や行動心理症状)に作用する薬です。
最近(2021~2023年)アメリカで新薬が開発されました。
脳内に蓄積したタンパク質(脳の神経細胞を殺す)を除去する作用で
病気の進行に関係する薬です。
たんぱく質の異常蓄積は40代から始まると言われているので、将来的には
特定健診などでタンパク質の蓄積を測る検査から処方へとつながることが期待されます。
ただ
脳内に蓄積したタンパク質のの除去は、良質な睡眠(時間は7~8時間)が担っていますので
一次予防でここらあたりの情報提供があるといいですね。
左下の欄は
過去に治療を受けた病気(今の暮らしに配慮が必要な病気や感染症)
とあります。
要支援・要介護状態になる原因から考えると
●関節疾患、骨粗しょう症
●フレイル(高齢による衰弱)
●認知症
●高血糖、高血圧、脂質異常症
などが挙げられるかと思います。
これらの予防法は
運動、ストレスの軽減、交流・役割活動、食事、睡眠などが挙げられますので
ここから右下の欄(予防)は考えやすくなりますね。
予防を実施することで
前回のA-2シート等を活用して状態が良くなっているのか、悪化しているのか、評価する必要もあります。
評価シートとしては
●センター方式のシート(D-1シートやD-2シートなど)
●認知症評価スケール(長谷川式やMMSEなど)
が挙げられます。
その結果、薬の増減などの検討がしやすくなるかと思います。
現行の認知症介護は
●社会モデル(共生)の視点→充足
●医学モデル(予防)の視点→不足
という偏りがあるように感じます。
個人的には、医学モデルの視点の充足が課題かと思います。
さて、これまでのシート解説は、こちらから見ることができます
よかったら、是非ご覧ください。
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