昨日の夕方、取引先の企業様からのご依頼で、質量分析イメージング(mass spectrometry imaging, MSI)に関するインハウスセミナーを実施しました。
MSIとはどんな技術か?
何が分かるのか?
MSIで用いられるイオン化と特徴&注意点
マススペクトルから何が分かるか?
マススペクトル解析の基礎
など、約1時間話してきました。
その企業ではまだMSIを自分達で実施している訳ではないので、少し基礎的な内容が多かったかなぁと、あとになって思いました。
もう少し応用例を沢山挙げた方が、興味を引いたかも知れません。
MSIでは、以下のようなイメージング画像が主なデータになります。
左側が生体組織切片をHE染色した画像、右側がDESI-MSによるMSI画像です。
それぞれ、組織切片は中央付近で二つに分かれており、左が正常組織、右ががん組織です。
MSI画像では、m/z 885.6イオンががん組織で広い範囲に高強度で検出されている事を示しています。
MSI技術を用いた研究では、このような画像を見て”あーでもないこーでもない”と議論するわけです。
しかし、この画像の元になるデータはマススペクトルであり、マススペクトルの正しい解釈無しにして画像だけで議論するのはナンセンスであると、私は考えています。
また、MSI分析で得られる微小領域毎のマススペクトルは、当然ですが混合物の状態から得られるものです。よってマトリックス効果は常に念頭に置いておく必要があります。
そのような考えで、MSIに関して話す時にも、イオン化やマススペクトル解析に関する基礎的な部分は、必ず含めるようにしています。
まぁ、私自身のバックグランドがマススペクトル解析やイオン化の研究が主なので、それらを含める方が話しやすいという事もあるのですが...
現在、浜松医科大学と株式会社プレッパーズでの仕事は、MSIが主なので、MSIに関するインハウスセミナーのご依頼も随時受け付けています。
ご興味ある企業や研究機関および大学の方々、ホームページからお気軽にご連絡ください。