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食後に強い眠気におそわれ、そのまま寝てしまったことはありませんか? 就寝の直前に夕食をとり、朝まで寝てしまうのは眠りの質を下げるので避けたほうがよいのですが、昼食後に適度な仮眠をとるのは疲労回復に効果的です。今回は食後の正しい仮眠のとり方を紹介します。
目次
- 食後に寝たくなる理由
- 食後の正しい仮眠法
- 食後に寝たくない時の食事法
食後に寝たくなる理由
食事をして満腹になった後、ふと眠気におそわれるのはなぜでしょうか。ここでは、食後に寝たくなる理由を説明します。
満腹ホルモン「レプチン」の分泌
満腹になると、脂肪細胞から「レプチン」というホルモンが分泌されます。「レプチン」には、胃腸の動きを活発にして消化を促進すると同時に、眠気を誘う働きがあります。
血糖値の低下
食事をした直後は血液中のブドウ糖の濃度「血糖値」が急激に上がりますが、一定時間を過ぎると下がります。血糖値が下がると、脳が「疲れを感じている」と判断し、身体に「休みなさい」という指令を出します。すると身体が休息モードになり、眠くなります。
食後の正しい仮眠法
食後に寝たくなったときには、時刻と時間に気をつけることが大切です。たとえば、夕食後に眠くなって朝まで寝てしまうと、夜の睡眠の質が下がってしまい疲れがとれなくなります。一方で、昼食後に適切な仮眠をとると、疲労回復に効果的です。
食後に長時間、寝てはいけない理由
食後、眠気にまかせて長時間寝ることは、身体へ負担がかかるなどのデメリットがあります。ここでは食後に長時間、寝てはいけない理由を説明します。
(1)肥満の原因になる
食後すぐに長く寝てしまうと、食事によって増えた血中のブドウ糖が消費されず、脂肪となってしまいます。これが肥満の原因になります。
(2)睡眠の質が低下する
寝る直前に食べ物を食べてしまうと、眠りに入ったあとも、胃の中に食べ物が残ったままになります。すると、消化のために身体が休まらず、眠りが浅くなり、睡眠の質が下がります。同時に、消化にエネルギーが使われることで、身体の機能回復も十分に行われないため、疲れがとれなくなってしまいます。
食後の正しい仮眠法
夕食を食べた直後に寝ると、睡眠の質が下がります。しかし、もともと身体に備わっている眠気のリズムと合わせて短時間の睡眠をとることは、脳の疲労回復に効果的です。ここでは、食後の正しい仮眠法を紹介します。
食後に寝る時間は20分以内
食後に眠くなって寝すぎてしまうと、深い眠りに入ってしまい、目が覚めて身体が起きていても、脳が眠っている「睡眠慣性」がはたらきやすくなってしまいます。睡眠慣性がはたらくと、頭や身体が重くなるという症状が出ます。30分以上寝ると深い眠りの段階に入るため、仮眠をとる時間は15~20分にしましょう。
14~16時よりも前に食後の仮眠をとる
人間の身体には、睡眠と覚醒のリズムを決める「体内時計」という機能が備わっています。その機能のひとつに、脳の疲労を小休止させる「半概日性リズム(サーカセミディアンリズム)」というものがあり、12時間周期で睡眠と覚醒のリズムをつくっています。このリズムによって自然に眠気がくる時間帯があり、眠気のピークが14~16時の間です。
これよりも前に仮眠をとると、目覚めた後も脳がすっきりしやすいため、14~16時より前に食後の仮眠をとりましょう。すると、脳にたまった疲労物質(睡眠物質)が解消され、集中力がアップし、午後の作業パフォーマンスが上がります。
半概日性リズム(サーカセミディアンリズム)による眠気のタイミングで寝てしまうと、深い睡眠に入りやすくなってしまい、なかなか目覚められなくなってしまいます。食事をとる時間にも気を配りましょう。
座ったままの姿勢で寝る
横になってそのまま眠りに入ってしまうと、長く眠りすぎてしまい、深い眠りに入ってしまいます。すると、目覚めた後に「睡眠慣性」が生じてしまいます。「デスクに突っ伏す」「椅子に座ったまま」などの姿勢で寝ることで、深く眠りすぎるのを防止できます。
食後に寝たくない時の食事法
食後に仮眠がとれないときは、食事内容をコントロールすることで、眠気を引き起こしにくくしましょう。ここでは、食後に寝ることができないときの食事法を紹介します。
炭水化物を多くとらないようにする
炭水化物を多くとると、強い眠気を引き起こしやすくするので避けましょう。炭水化物に含まれる糖質は、血糖値を急激に上げる働きをします。血糖値が急激に上がると、一定時間後に急降下し、強い眠気におそわれます。
特に、ラーメンとチャーハン、ざるそばといなり寿司など、炭水化物同士のメニューは選ばないようにしましょう。
野菜を最初に食べる
食事をするときに、最初に野菜を食べると、血糖値の急激な上昇を防げます。野菜(副菜)→おかず(主菜)→ごはん(主食)の順で食べましょう。
副菜は、食物繊維が糖質の吸収をおさえるので、ゴボウや切り干しダイコンなどの食物繊維を多く含む野菜がおすすめです。溶けやすい水溶性食物繊維が多く含まれているため、糖質の消化・吸収をおだやかにし、血糖値の急上昇を防ぐことができます。
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)