「ねぇねぇ!!今日はじめちゃん誕生日なんだって!?」
あたしは襖をスパンッ!!と開けた。
「はぁ…、マキ。お前何度言ったら分かるんだ。総司みたいなことすんな」
眉間にシワを寄せる土方さん。
「だって!!あたし聞いてなかったんだもん!!ねぇ、何で教えてくれなかったのよ!!」
土方さんの肩を叩いた。
「……っ、お前は女のクセに力が強ぇんだよ」
更に眉間にシワが寄った。
「なぁ、なに朝から騒いでんだよぉ」
欠伸をしながら土方さんの部屋に現れたのは、平助くんだった。
「あ、平助くん!!ねぇ、今日はじめちゃんの誕生日だったんだって!!」
知ってた?とグイッと顔を近付けると
「お…おわっ!!お前…顔近づけんなって…」
すぐにあたしから離れた平助くん。
「あ…ごめんね?あたしキモイから…イヤだったよね…」
顔を伏せ落ち込むあたしに
「ちっ…ちげーよ!!そ…そんなんじゃねぇから、落ち込むなって…」
な?と、あたしの顔を覗き込んだ。
「お!平助、朝から何マキに顔近づけてんだよー?」
ニヤニヤしながら現れたのは、新八だった。
「ち…ちげーよ!!これは…その…あの…」
モゴモゴ喋る平助くんに
「平助くんって、可愛いよね♪ね、新八?」
あたしが新八に顔を向けると
「なぁ、マキ。何度言ったら分かってくれんだよ!俺のことは新八様と呼べと言ってるだろう!!」
はぁ…と溜め息を吐く新八に
「えー?新八は新八でしょー??新八は突っ込みだけしてればいいんだってー!」
あたしがケラケラ笑うと
「突っ込み…って、お前誰かと間違ってねぇか?」
こんな素敵な新八様を誰かと間違いやがって!!と、グーでゴツンとあたしの頭に拳骨を落とした。
「……っ、いったーーーい!!!!」
新八のバカーーー!!と、泣き真似をすると
「新八ぃ。お前またマキ泣かせたのかよ…」
やれやれという感じで現れたのは、左之さんだった。
「左之さぁん!!」
ガバッと抱き付くと
「よしよし、新八は俺が退治しとくからな?」
頭をポンポンとしてくれた。
「マキちゃん、左之さんにそれされたくて新八くんにわざとやってるんでしょ」
そこに現れたのは、総司だった。
やべ…バレタ…。
「ち…違うもんっ!!べ…別に左之さんにポンポンされたいわけじゃないもんっ…」
左之さんに抱き付きながら総司だけに顔を向けた。
「はぁ…それよりマキ。お前は何しに来たんだよ」
原田に抱かれたきゃ、他行けよ。と、盛大な溜め息を吐いた土方さんに
「だ…抱かれ…。うん…そうする!…じゃなくてっ!!」
あたしはグルリと回りを見わたし、はじめちゃんがいないことを確認したところで皆に告げた。
「今日は、はじめちゃんの誕生日なんでしょ?お祝いしたいなって思って」
いいでしょ?そう言うと
「でもさぁ、誕生日って何すんだ?」
と、平助くん。
「うーん、あたしが料理作る!!」
腕まくりをするあたしに
「マキ料理苦手だろ」
斎藤死ぬぞ?と、新八。
「し…死ぬとかヒドイーーー!!あたしだって頑張れば作れるもんっ!!」
また左之さんに抱き付いた。
「だから、マキちゃんは左之さんに抱き付きたいだけでしょ」
離れなよ。と総司に引きはがされた。
「あーーー、左之さぁん!」
手を伸ばしアピールをすると
「総司、マキはみんなのマキだ。独り占めすんな」
あたしの手を掴んでくれた。
ニマニマするあたしに
「おい、斎藤の話するんじゃねぇのかよ」
もう疲れ切ってる土方さん。
「だから!!あたしが料理作るってば!!」
左之さんから離れ、土方さんにグイッと顔を寄せれば
「お…おぅ。じゃ…お…お前が作れ」
顔を背け顔を赤くした。
「うんっ!!じゃぁあたし作ってくるね!!」
誰か手伝ってぇ!!それと、はじめちゃんには内緒だよーー!!
あたしは廊下を走った。
「おいっ!マキ!!廊下は走んなって、いつも言ってんだろうが!!!」
土方さんの怒鳴り声が響くも、マキに届くことはなかった。
「それよりもさ…」
平助がぼそりと。
「はじめちゃん、ここにいたのにマキ、気付かなかったんだよな…?」
それに
「あぁ…」
一同が頷いた。
「そんなに俺は存在が薄いのか…」
項垂れた、はじめちゃんだった。
つづく…。