「で?沖田先輩っていう人は、どうして有名なわけ?」
中村さんの足元にある唐揚げは諦め、沖田先輩とやらについて聞くことにした。
まぁ、たいして興味もないんだけど。
「本当に知らないんだ。沖田先輩はね、同級生だけじゃなく下級生たちからも人気があってとにかくモテるのよ」
へぇ、どんだけ王子なんだ?
「でね、一日一度は必ず告白されるって話よ?」
「は?一日一度は必ず…?」
今度は、あたしが唐揚げを落とした。
「あー!!あたしの唐揚げっ!!」
コロコロ転がる、あたしの唐揚げ…。
「ちょっと…唐揚げと沖田先輩どっちが大事なのよ!!」
「そんなの唐揚げに決まってんでしょ!!」
即答した。
「あんたねぇ…。そろそろ恋してみたらどうなのよ」
まぁ、恋をしようと思って出来るもんじゃないんだけどさぁ…と、中村さんの足元に二つある唐揚げを見つめながら留美は言った…と思う。
「恋…ねぇ。したくないわけじゃないけど…」
「けど…?」
留美が首を傾げた。
「恋人同士になったら…キス、とかするんでしょ…?」
「は?」
留美の目は例えるなら、点だった。
「だから…キス、とか…それ以上のこととか…。あたし、できないもん…」
意外に乙女なんだぞ、あたしは!!
「あんた、バカじゃないの?」
そんなあたしの乙女心をぶち壊されました。
つづく…。