世界の名作とつながる ─『21Lessons(その3)』(ユヴァル・ノア・ハラリ)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 本を読んでいると、ジャンルは異なれども、不思議と、「あ、この前読んだあの本の、あそことつながる」と思うことがよくあります。今日、気付いたのは、論説『21Lessons』と小説『カラマーゾフの兄弟』のつながりです。

 

 『カラマーゾフの兄弟』には、こんな一節がありました。

「もし悪魔が存在しないとすれば、つまり、人間が創りだしたのだとしたら、人間は自分の姿かたちに似せて悪魔を創ったんだと思うよ」

「それなら、神だって同じことですよ」

 (ドストエフスキー、『カラマーゾフの兄弟(上)』より)

 

 そして、『21Lessons』には─

 ロボットにまつわる本当の問題は、彼らのAIではなく、人間の主人たちが生まれながらにして持っている愚かさと残酷さなのだ。

 (ユヴァル・ノア・ハラリ、『21Lessons』より)

 

 神も、AIも、人間が創り出したもの。だから「AIが職を奪う」「AIが人間の行動を制御する」と言っても、それは、人間の思想の反映なのではないか、ということです。

 人間が真っ当であれば、神も、AIも、真っ当な立場から、世の中を正しく導いてくれるはず…だと思うのですが。