自分たちの少し前の時代を歩み、時代の移り変わりを一足早く見つめた人の言葉は含蓄に富みます。
竹西寛子さんの『望郷』から。
情報量の増加という、あってないような大義名分を楯に、新聞の記事やテレビ、ラジオ番組がとかく小間切れになり、考究、考察の持続、深化が疎まれがちになって久しい。
(竹西寛子、『望郷』より)
言われてみれば、世の中は短絡的な結論を急ぎ、すぐ解決策を求めたがり、じっくりと考えていると愚鈍とさえ見られてしまいます。「頭のいい人」「頭の切れる人」というのは、問われたことに即回答を返せる人のこと。「仕事のできる人」というのも、もしかしたら同じように考えられているかもしれません。
情報だとかAIだとか、得体の知れないものが人間の能力を超えて社会を席巻しようとする中、いったん立ち止まり、熟考できることが人間の叡智ではないかと思うのですが。
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