ふるさと ─『101個目のレモン』(俵万智)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 県外で一人暮らしをする大学生の息子から、「27日か28日に帰る」と連絡がありました。

 「もっと早く帰ってくればいいのに・・・」と思いつつ、自分も大学生の時は、コンビニでバイトをしたり、お歳暮の配達のアルバイトをしたりなど、大晦日まで帰らないこともありました。まさしく「親の心 子知らず」だなと苦笑いしました。

 

 大学生の頃は、一人暮らしの自由さが楽しくて、そして実家に帰っても刺激的なことは特になくて、だから結局帰省する期間も短くなっていました。

 でも、歌人・俵万智さんは、こんな歌を詠んでいます。

 

 なんでもない会話なんでもない笑顔なんでもないからふるさとが好き

 

 ふるさとは、帰ってみると、実になんでもないところである。そして、そのなんでもなさが、ふるさとの魅力なのだと思う。

 (俵万智、『101個目のレモン』より)

 

 息子は、ふるさとをこんなふうに感じられる人に育つのでしょうか。

 もしかしたら4月からは、同じように県外に出て行く娘は、ふるさとをどんなふうに思うのでしょうか。

 

 私は、せめて、のんびりとあたたかい雰囲気をつくって、帰ってくる子どもたちを迎えたいなと思います。