声色とともに ─『まなの本棚』(芦田愛菜)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 読書週間中(11/9まで)は、『まなの本棚』のブックレビューをし続けています。

 今回はその3回目。テーマは「読み聞かせ」。

 

 愛菜ちゃんは、小さい頃『コンビニエンス・ドロンパ』という絵本を読んでもらっていました。

 おばけのコンビニエンスストアに、夜中、いろいろなおばけがやってくるお話だそうです。

 

 「くさきも ねむる うしみつどき・・・」なんて、「くさき?」「なにみつどき?」って意味もよくわからなかったけれど、父がわざと怖~い声色を使って読んでくれて。ゾッとするんだけどそのリズムが心地よくて、キャーキャー言いながら「お願い! また読んで!」ってせがんでいたなあ、なんて思い出します。

 (芦田愛菜、『まなの本棚』より)

 

 何を言っているかは分からないけれど、なんとなく伝わってくる言葉の感じ。これを繰り返しながら、子どもは言葉の意味を覚え、言葉に色がついてくるのでしょう。大好きな家族の声だから、なお一層。

 愛菜ちゃんのこういう原体験が、言葉が大好きで、言葉に共感し、言葉から想像を広げていく今の彼女の基盤をつくったんだな、と思いました。