『長いお別れ』
かつて中学校の校長を勤めていた東昇平は、認知症と診断されます。
しだいに症状は進み、20年間住んだ家の住所も、妻、という言葉も、家族、という言葉も忘れてしまいますが、「たしかに存在した何か」が、家族をつなぎます。
そして、昇平は亡くなる直前まで、さかさまにしたまま、お気に入りの本を読み、最後は家族に見送られながら旅立っていきます。
「『長いお別れ(ロング・グッドバイ)』と呼ぶんだよ、その病気をね。少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから」
(中島京子、『長いお別れ』より)
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長いお別れ (文春文庫) [ 中島 京子 ]
712円
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この本を購入したきっかけは、この表紙の絵が、私の父にそっくりだから。
しかも、父も元校長先生。
まだしっかりしているとはいえ、80歳を超えています。
昇平の「長いお別れ」は10年間でした。
もしかしたら、父との間に残されている時間は、そんなに長くないのかもしれません。