今ですね ─甲子園から(朝日新聞)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 昨日の甲子園の高校野球、地元の高校が負けてしまいましたが、今日の新聞には、K選手(3年生)の記事が載っていました。

 

 K選手は、入部したときは投手。しかし、十分な成果が出せず、野手に転向。泣きながら練習することもあったそうです。

 春の選抜大会は、先発メンバーのほとんどが安打を放つ中、K選手は無安打。結局次の試合では、後輩に先発メンバーを奪われてしまいました。苦しい3年間を送ってきたことがうかがえます。

 しかし、最後の夏の大会では地区大会から活躍し、昨日の試合でも得点にからむ活躍を見せました。

 

 記事の最後は、こう締めくくられています。

 自分の野球人生のピークは長い間、エースとして西日本大会で3位になった小学生時代だった。でも、この日にピークを問われると、「今ですね」と笑った。

 (2019年8月10日(土)、朝日新聞)

 

 最近、『定年ゴジラ』(重松清)『終わった人』(内館牧子)と、定年後の人生を考えさせられる小説を読んできました。人はどうしても、過去の業績や栄光にしがみついてしまいがちです。でも、K選手のように「今がピーク」と思えるような日々が送れたら、一番幸せなんでしょうね。