パターン化された会話は、ロボットのよう(前回のブログ参照)。
では、人間らしい会話って何なのでしょう。
その答えの鍵の一つは、「相手の思いや意図を慮ること」です。
次の話で考えてみましょう。
魚也は、別の湖に住むガールフレンドの魚香にブランド物のポーチをプレゼントすることにしました。
魚也はロボットにプレゼントを託し、プレゼントを受け取った魚香の感想を聞いてくるように命じます。
ロボットは、言いつけ通り、魚香にプレゼントを届けます。
魚香「えっ! 魚也さんからプレゼント!?」
魚香はプレゼントを開封するなり大喜びでこう言いました。
魚香「サンマサ・サバサのポーチだ! しかも、これ、私がずっと欲しかったやつじゃない! もう、私をこんなに驚かせるなんて、魚也さんって、本当に憎いひとだわ!」
ロボットは、魚也さんのところに帰り、魚也さんにこう伝えました。
ロボット「魚香さんは、『これは、私がずっと欲しかったやつではない。魚也さんが憎い』と言いました」
(川添愛、『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』より)
・・・悲惨な結果です。
言葉尻だけを捉えれば、ロボットのようにも取れるでしょう。
でも、相手の状況、表情、雰囲気、言葉の抑揚、いろいろなことから、文字面だけではないところまで考えられる。それが人間だけのなせる会話です。
名役者は、目のかすかな動きだけで、悲しみや驚きが表現できると言われます。
一方で、それをきちんと読み取れる受け手側の感性も同じくらい大切です。
両方あって、初めて意思疎通ができるわけですから。