与えたり与えられたりの繰り返し ─『どうぞのいす』(香山美子)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

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「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 いつもの休日のお散歩をしていたら・・・

 『どうぞのいす』かと思いました。

 

 『どうぞのいす』(香山美子)はこんな話です。

 

うさぎさんが、小さないすを作って、大きな木の下におきました。

そして、「どうぞのいす」と書いた立て札を立てました。

 

ろばさんがやってきて、どんぐりがいっぱい入ったかごをいすに置くと、お昼寝を始めました。

 

そこにくまさんがやってきました。

「どうぞなら、えんりょなくいただきましょう。」

くまさんは、どんぐりの代わりにはちみつを置いていきました。

 

そのあと、次々に動物がやってきて、いすの上のものをいただいては、代わりを置いていきます。

 

そして、目の覚めたろばさんが見たものは・・・。

 

 散歩の途中の「どうぞのいす」が、どんな物語を生むのかは分かりませんが、でも、世の中は、「どうぞ」と「いただきましょう」の繰り返し。この本は、そんなことに気付かせてくれます。

 かわいい絵本でも、含蓄するところは深いですね。