「好きなものを訊かれて、ちゃんと答えられるうちは、人間、みんな、だいじょうぶだ」
「そうなの?」
「ああ、そうだ」
父は自信たっぷりに言って、「つらいことや、しんどいことがあっても、だいじょうぶなんだよ、ほんとに」と念を押した。
(重松清、『一人っ子同盟』より)
「がんばれ」と励まされるより、「こうしたらいいよ」とアドバイスされるより、私は、このお父さんのような言葉に勇気づけられます。
つらいことやしんどいことに立ち向かえることも大切でしょう。でも、そうできないときにも、「自分には、この時間がある。これをしていれば、いやなことが一瞬でも忘れられる」と思える何かが、自分を支えてくれます。