お節介 ─『本所おけら長屋(四)』(畠山健二)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

「楽しいよ、お節介って。やくのも、やかれるのも。だって、その人が好きってことだろ。嫌いな人にお節介なんてやかないからね。だから、あたしたちには、好きな人がいっぱいいるってことさ」

 (畠山健二、『本所おけら長屋』(四)

 

 そう言えば、昔は、地域にもお節介な大人がたくさんいました。

 

 小道で遊んでいたら、「道路で遊ぶなっ!」と犬の散歩をしながら怒ってくるおじいさん。

 スポーツ少年団の練習に顔を出して、いろいろと教えてくれるおじさん。

 お祭りのあとには、自宅でうどんをふるまってくれるおばさん。

 

 時々、うっとうしく思ったり、その好意を好意とも気付かずに甘えたりしてばかりでしたが、今、思うと、その人とはもちろん、地域や友達同士の関係が近かったなあと思います。お節介が減っていくごとに、人とのつながりが薄れているような寂しさを感じます。