へたでもいい ─『蜜蜂と遠雷』(恩田陸)その4─ 芳ヶ江国際ピアノコンクール。 明石は、第二次予選で落選します。しかし、明石は、演奏者たちの体を通してあふれ出る音楽が、彼らが育った土地、風景と無縁でないことに気付きます。 音楽っていいな。 明石はふと素直にそう思った。 真の世界言語だ。 もはや自分が落ちたことは、どこかに行ってしまっていた。 私も同じ。 ミスタッチだらけでも、本当に音楽が好きというのが伝わる演奏、楽しんで演奏しているなというのが分かる演奏、人柄のあふれる演奏、そんな演奏に出会えた時、私は幸せを感じます。