売れっ子ミステリ作家・猪飼真弓が、高校時代からの友人であり、著名なピアニストである嵯峨三枝子に言います。
…でも、ひとつだけ、あたしたちには絶対にかなわないことがあるじゃない。
世界中、どこに行っても、音楽は通じる。言葉の壁がない。感動を共有することができる。あたしたちは言葉の壁があるから、ミュージシャンは本当に羨ましい。
もう、30年も前になるでしょうか。
指揮者の小澤征爾さんが、インタビューに答えていました。
「夕日を見て美しいと思うのは、日本もヨーロッパも同じ。音楽だって、いいものは世界に通じる」
やっと日本人が、世界の舞台で認められ始めた頃でした。しかし、それ以降、この言葉の通り、世界で活躍する日本人演奏家は、どんどん増えています。
『蜜蜂と遠雷』、読み始めたばかりですが、音楽を嗜む人はきっと共感するであろう言葉が目白押しです。私のブログも、しばらくこの小説にかかりきりになりそうです。