『読書と私』は、大江健三郎さんや丸谷才一さん他27名の方が、読書について書き下したエッセイ集です。今日は、その中から丸山健二さんの言葉を紹介します。
自分の言葉を持つということは大変なことだ。なぜなら、その言葉の裏づけとしていちいち体験や行動を貼りつけなければならないのだから。精いっぱい生きて、充分に働かなければならないのだから。
たくさん本を読んだから、言葉が豊かになる。そんな単純なものでもないようです。
とびきりの体験をした人の書く文章が読み手をその世界に誘ったり、逆に悲しい経験をした人の素朴な言葉が人の心を打ったり・・・。“文は人なり”という言葉は、言葉には、その人を形づくってきた人生が自ずと含まれる、ということなのでしょう。
だから、言葉に魂を吹き込むことができるように。精いっぱい生きていかなければ。