目立たぬように はしゃがぬように・・・ ─天声人語─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

「日本人は市井(しせい)のひとびとがえらい」と言われます。

多くを語らず、不器用だけれど、人を大事にする、そんなイメージがあります。

 

先週84歳で亡くなった映画監督の降旗康男さんは、企業の創業者を主人公にした映画作りの依頼が来たときに、きっぱりと断ったそうです。

 

「偉い人、立派な人は撮りたくない。世の中からはじき出された人の中にある美しさ、尊さを描いてこそ映画だと思う。」

(朝日新聞「天声人語」(2019.5.30))

 

 「駅 STATION」「鉄道員(ぽっぽや)」…弱く、はかなく、寂しい人たちを大切にした監督でした。

 

 思い出す歌があります。

目立たぬように はしゃがぬように

似合わぬことは 無理をせず

人の心をみつめつづける

時代おくれの男になりたい

     (河島英五「時代おくれ」)