肚(はら)で当たれ ─『黒書院の六兵衛』(浅田次郎)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

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「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 昨日の私のブログ(やさしい勇気─『モチモチの木』─)に、絵本講師のいるところさんがコメントをくださいました。それを拝読し、絵本講師さんも、勇気を絞り出してブログを書き、コメントや返信をしているということに、大いに励まされました。

 

 そこで思い出したのが、浅田次郎さんのこの言葉。

 

 大事に臨んだときは、あれこれ物を考えてはならぬ。人間のおつむが練り出す策などというのは、高が知れているのだ。だったら頭の中はまっさらにして、肚(はら)で当たるがいい。

 (浅田次郎、『黒書院の六兵衛(上)』より)

 

 物事がうまく運ばないときは、どうしても頭で考えてしまいがちです。いろいろな選択肢を挙げて、それぞれのメリット・デメリットを考えて…。でも、そういうときは往々にして、行き詰まってしまいます。

 一方で、どんな局面でも乗り切っていく人は、もちろん緻密に考えているのかもしれませんが、ここ一番で肚(はら)をくくっているようです。だから困難さを感じさせない前向きさを醸し出しているのだと思うのです。

 

 自分の中でこもって悩んでいると、周りの人に気を遣わせてしまいます。

 肚(はら)をくくって、自分も前向きで、周りの人も前向きにするような人にならなければ!