峠の猟師小屋に、じさまと二人暮らしの豆太。臆病者の豆太は、ひとりで雪隠にも行けません。
ある日の真夜中、じさまは腹痛で苦しみ始めます。豆太は、必死で、真っ暗の山道を駆け下り、ふもとのお医者さまを呼びにいきます。霜が足にかみついても、こわくても、走り続けます。じさまが死んじまうほうが、もっとこわかったから。
何とかふもとにたどり着き、お医者さまにおぶわれて小屋に戻った豆太は、家の前で不思議なものを目にします。
「モチモチの木に ひがついている!」
でもお医者さまは、それはモチモチの木の向こうで光る月と雪だ、と答えます。
次の朝、元気になったじさまは豆太に言います。
おまえは、勇気のある者しか見えない、山の神さまの祭りを見たんだ、と。
さっき、帰路の途中、夜空を見上げたら…
モチモチの木に ひがついていました。
神さま、私にも、豆太のようなやさしさと勇気をください。