「伝えたいことが、ある」ということ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 GW明けから、通勤電車に小さな変化が現れました。

 これまでは、「まもなく、終点、高松です。降り口は右側です。」と、お決まりの車掌節でアナウンスしていました。ところが、その後、英語のアナウンスが入るようになったのです。

「ウィ ウィル スーン アライブ アト タカマツ ステーション。ドアーズ アー ライト サイド オープン。」

 生粋の車掌節で話されるのです。

 

 なぜか、温かい気分になりました。

 

  一生懸命話しているから。

  地方の方言のような親しみを感じるから。

  おそらく英語は苦手でしょうが、それでも自分らしく話しているから。

 

 いろんな理由があるのでしょう。

 でも、「わたしは あなたに 伝えたいことがある」という思いが、温かさを生んでいるのではないかと思いました。

 おそらく1日のうちに何名かは乗車しているであろう外国人の方を思い、この言葉を届けようとしている。その何名かが、香川県でいい思い出を作ってくれたらそれでいい。

 朴訥な話し方に、そんな思いを届けようとしているから、温かい気分にさせられたのかもしれません。

 

 「私には、他でもないあなたのために伝えたいことがある。」

 そんな思いに支えられた言葉は、聞く人の心を動かします。