春は「山笑う」、夏は「山滴る(したたる)」、秋は「粧う(よそおう)」、冬は「山眠る」と言われます。
今の山はまさしく、冬の深い眠りから覚め、日の光を浴びて楽しくて仕方ないといったところでしょう。
もう少しすると、ユリの花が馨り始めます。
道の辺の草深百合の花笑みに笑みしがからに妻と言ふべしや (万葉集)
くさのへの くさぶかゆりの はなえみに えみしがからに つまというべしや
「道端のユリの花のように微笑んでくださった貴女を、妻と呼んでもよいでしょうか」、一方で「ちょっと微笑んだぐらいで、気軽に妻などと言わないでね」と読む人もいるそうです。それもユリの気高さを感じられて、趣があります。
「笑う」が季語になりそうな心地よい季節です。
さあ、笑って、笑って。