てんこもりの思いをこめて ─『ありがとう ともだち』(内田麟太郎)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 キツネさんが初めてオオカミさんのお家にお泊まりに行きました。

 海の話を始めたオオカミさんは、興奮して、つい「おれは、クマの10倍もあるカジキを釣り上げた。」とうそを言ってしまいます。

 

 翌日、海への期待ふくらむキツネさんとオオカミさんは海釣りに行きます。

 ところが、キツネさんはたくさん魚を釣り上げるのに、オオカミさんは一匹も釣れません。

 いらだってキツネさんにあたるオオカミさんは、最後にぼそっと言います。

「ごめんな、キツネ。カジキが つれなくて」

 

 そんなオオカミさんに、キツネが言った言葉。

「なに いってるの、オオカミさん。もっと でっかい おおものを つってくれたじゃない」

「まるごとの うみだよ。かいがらを ひろった すなはなも、カニを つかまえた いわばも ある、まるごとの うみだよ」

「きょうは てんこもりの うみを ありがとう!」

 

 結果として何ができたか、ではなく、いっしょにいれたかどうかが大切なんだ、ということを教えてくれる絵本でした。

 

 GWもとうとう終わりを迎えます。我が家は、大きな旅行も、お出かけもできませんでした。

 でも、高3の娘の部活の地区大会の応援に行ったり、部活が休みの日には庭でバーベキューをしたり、図書館に連れて行ったりと、ゆったりといっしょに過ごすことができました。一昨日には、この『ありがとう ともだち』を読み聞かせてあげることもできました。何にも予定のなかった10日間を、ちょっとずつ家族で埋めていきました。当たり前のような時間が積み重なって、振り返ってみると、かけがえのない時間になっていました。

 

 てんこもりの思いをこめて、10連休に、ありがとう。