働き始めた若者が祖父をカレーチェーンCoCo壱番屋に誘う。差し向かいで夕食をとり、若者が財布を取り出す。「給料もらったらじいちゃんとうまいもの食べに行こうと思ってたから」。レジで支払いをする若者の背に、祖父は深く頭を下げ、手を合わせる。
(朝日新聞、「天声人語」(2019.4.20より)
漫画家深谷かほるさんの『夜回り猫』の中の一話ですが、実話だそうです。
このおじいちゃんは、そんな孫の背中に何を語ったのでしょうか。
きっと今までは、おじいちゃんは孫に「買い与える」立場だったのでしょう。かわいくて、とにかく何かをしてあげたくて孫に尽くしていたのだと思います。それが、立場が逆になった。うれしさの一方で、もう自分の手を離れてしまう寂しさも感じたことでしょう。
私には、まだ孫はいませんし、子どもも働いていません。
でも、もしこのおじいちゃんの立場だったら、きっと、こんなふうに思いながら手を合わせると思います。
「立派でやさしい人になったな。」
「今まで、たくさんの楽しいことをありがとうな。」