キツネのおかしなおもいつきから、二人はともだちになりました・・・。
きっかけなんて、なんだっていいね。
(内田麟太郎、『ともだちや』より)
オオカミらしくないオオカミさんと、キツネらしくないキツネさんが友達になりました。
ところが今日は、遊んでいるうちに大げんか。
オオカミ「いんちきは、この うちから でていけ!」
キツネ 「二どと くるもんか! こんな いえ。ずるいのは そっちだ。ずるっこ おしっこ ひがみっこ!」
言ってしまったものの、オオカミはすぐにしょげこみます。
「お、おれの いいすぎだった。あいつは、いんちきなんか ぜったい していない」
それからというもの、お互いに謝ろうと思って機会をうかがうものの、いざとなると意地を張ってしまいます。それでも心の中は・・・。
オオカミ(「ごめん」も いえないなんて。わるいのは おれなのに)
キツネ (いやだよ、いやだよ。オオカミさんと これっきりに なるなんて・・・)
なかなおりが したいけど、あのことばが なかなか いえないのです。
たった ひとことなんだけどな。
「ご、め、ん、ね」って。
(内田麟太郎、『ごめんね ともだち』より)
ひょんなことから友達になり、ひょんなことで大げんかをした二人は、またひょんなことから仲直りをするのですが、私が懐かしむのは「ごめんね」を言い出せずに逡巡する二人の気持ち。
なかなか「ごめんね」を言えない子どもたちは、やっと言えた「ごめんね」で、「ごめんね」の大切さを知るのでしょうね。