ともだちは、いつだって波瀾万丈 ─『ともだちや』(内田麟太郎 作、降矢なな 絵)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 一般には、ずるがしこいと思われがちなキツネと、乱暴者と思われがちなオオカミ。

 そんな二人が織りなす「ともだち」絵本。

 

 『ともだちや』は、シリーズ第1弾。キツネとオオカミが初めて友達になるお話です。

 

「えー、ともだちやです。

ともだちは いりませんか。

さびしい ひとは いませんか。

ともだち いちじかん ひゃくえん。

ともだち にじかん にひゃくえん」

 

 こんなキツネ、どう思いますか?

 

 一方、オオカミはキツネを呼び止めて一緒に遊ぶものの、お代を請求するキツネに対して、

「お、おまえは、ともだちから かねを とるのか。

それが ほんとうの ともだちか」

と、きばをカチカチ鳴らします。

 

 なるほど、オオカミも負けてないな、と思うでしょう。

 

 でも、実は、そういう二人ではないところが、この絵本の魅力。

 ずるがしこそうなキツネとオオカミでありながら、本当は情に厚いところに読む人の心は温められ、情に厚いのに、見た目はいかにもキツネとオオカミというところがユーモラス。

 

 波瀾万丈な二人の「ともだち」関係と出会えそうです。

 明日、あさってと、キツネとオオカミの声に聞き耳を立ててみましょう。

 絵本の中の、ミミズクのように。