誕生日に ─『自分の感受性くらい』(茨木のり子)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

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「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

私の誕生日は今日なのですが、

昨日が日曜だったので

家族がお祝いをしてくれました。

 

家族の誰かの誕生日には

必ず骨付き鳥とポテトサラダ。

そしてデザートのケーキ。

これ我が家の定番。

幸せな時間。

 

ところが1週間が始まると

年度末のあわただしさで

その幸せも1日で忘れてしまいそう。

 

 

ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて

 

初心消えかかるのを

暮らしのせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

 

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ

 

(茨木のり子、『自分の感受性くらい』から抜粋)

 

 

あと1年で「天命を知る」歳になるのだけれど

自分がそんなたいそうな者になれる気がまったくしません。

 

でも、目にとまる風景、耳に聞こえてくる物音が流れてしまわないように、

自分の感受性くらい自分で守らなきゃ。