夢を追い続ける ─『知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能』(野口悠紀雄)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 野口悠紀雄さんは、人工知能がいかに進歩しても、「人間が知的活動のすべてを人工知能に任せ、自らはハンモックに揺られて1日を寝て過ごす」という世界にはならないだろうと予測します。なぜなら、人間は知識を持つこと自体に喜びを抱くから。

 

 研究室では、研究者が寝食を忘れて実験に挑んでいるでしょう。歴史学者は古文書を紐解いて、新しい事実を発見することに無限の喜びを感じているはずです。そして、親しい人々が集まって、絵画や音楽についてどれだけ深い知識を持っているかを披露し、競い合っているはずです。あるいは、誰の意見が正しいかについて、口角泡を飛ばして議論しているでしょう。

 人類にとってのユートピアとは、そのような世界だと思います。

 (野口悠紀雄、『知の進化論』より)

 

 先日、はやぶさ2が小惑星「リュウグウ」に着陸しました。地球から3.4億キロ。「バスケットボールのゴールを宇宙から狙うようなもの」だそうです。

 その「はやぶさ2」計画の責任者・津田雄一さんは、小学生の頃からスペースシャトルや、ハレー彗星探索機の番組にくぎ付けでした。「誰も行ったことのない遠くの星へ行きたい」とJAXAに入り、「誰よりも探査機のことを知ってやろう」と思いながら、今も夢を追い続けています。

 

 AIにはできないこと ─ 夢を持つこと。