すてきな五にんぐみ ─『すてきな 三にんぐみ』(トミー=アンゲラー 作、今江祥智 訳)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 2月14日のアメリカでの出来事です。

 父親が車内に幼児が座っていたにもかかわらず、中に鍵を置き忘れてドアを閉めてしまいました。そのとたん、自動ロックがかかり、子供が中に取り残されてしまうことに。

 当時の外気温は22度。このままにしておけば、車内温度は37度に達する恐れがあったそうです。

 この状況を救ったのが、近くで道路工事をしていた5人の受刑者たちでした。彼らは、ハンガーを使い、車を傷つけることなく、幼児の救出に成功しました。

 その管区の保安官は言いました。

「彼らだって人生で正しいことをしたいと思っているのだ。」

 

 こういう場面はどこかで見たことがある。誰かに似ていると思ったら、「すてきな三にんぐみ」でした。

  (すみません。昨日の向田邦子さんの言いぶりを拝借しました。)

 

 『すてきな三にんぐみ』は、こんなお話です。

 泣く子も黙るこわーい泥棒の三人組。よるになると馬車を襲い、お宝を全部隠れ家に運び込みます。

 ところが、ある日、三人組はみなしごのティファニーちゃんと出会います。

 宝を見たティファニーちゃんに「これ、どうするの?」と尋ねられた三人組は、さみしく、かなしく、くらい気持ちで過ごしているみなしごたちを集め、お城を買って、みんなで一緒に暮らすことにしたのでした。

 

 子供のころ、『すてきな三にんぐみ』を読んだ時には、「なんでどろぼうがいい人になるんだろう。どろぼうなんだから、ばちが当たらないといけないのにな。」と思っていたような気がします。

 でも、今読むと、この絵本の魅力が分かるような気がします。

 思えば、自分も悪いことをたくさんしてきたので。