笑顔という条件 ─『夫婦脳』(黒川伊保子)再び─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 昨日も取り上げた『夫婦脳』ですが、少し趣向の異なる、こんな話もあります。

 

 ある朝TVをつけたら、小栗旬さんが、東京大学の公開講座で特別講師を務めた様子が映っていたそうです。会場から「今の日本に必要なリーダーの資質とは」と問われ、彼はこう答えました。

 

「(一般論はわからないが)自分自身は、撮影の現場に入るとき、みんなに笑顔が出るようにと思っています」(黒川伊保子、『夫婦脳』より)

 

 また、白川由紀さんという写真家は、アフリカを単身歩きながら、こんなふうに語ってくれたそうです。

 

 観光客もあまり訪れないような地域では、日本人が珍しいらしく、行く先々の集落で歓迎会を催してくれた。その席で出会う集落のリーダーは、年齢も服装も様々。しかし、リーダーは紹介される前に必ずわかる。

 だって、その人が現れたとき、周囲の人たちが、嬉しくてたまらない顔をするから。

「人を笑顔にすること。それがリーダーの条件だと思う」、そう彼女はしめくくった。私は、五十をすぎる今日まで、これ以上のリーダー論を知らない。(同書)

 

 自分を待ってくれる人がいることを素直に喜び、自分から笑顔を出すから、笑顔は周りに伝播します。互いの信頼関係があるからこそです。やはり、笑顔はリーダーに欠かせない条件なのでしょう。

 

 私は、明日、職場に入ったときに、みんなの表情を、ちょっと観察してみることにします。

 変ににこにこしていると、怪しまれるでしょうか。気持ち悪がられるでしょうか。

 みんなを笑顔にすることができるのでしょうか。

 もちろん私は、組織のリーダーなどではありませんが。