神聖なる女性と、男性の権力と ─『ダ・ヴィンチ・コード(中)』(ダン・ブラウン)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

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「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 キリスト教の真実は、聖なる杯─“聖杯”にある。

 「ダ・ヴィンチ・コード(=ダ・ヴィンチの暗号)」を手掛かりに、その聖杯を探し求める物語です。

 

 イエス・キリストは、男女同権論者の草分けでした。そして、命を生み出す女性の能力は、古くから神聖なものとされてきました。

 しかし、男性の支配する教会が勢力を伸ばすためには、それは脅威だったのです。

 そこで、男性は、イヴがリンゴを食べたが故に人類が堕落したという「原罪」の概念を作り、アダムの肋骨から生まれたイヴを男性の副産物、それも罪深い副産物としました。

 ─聖書は天国からファクシミリで送られてきたのではない。聖書は人の手によるものだ─

 この言葉が印象的です。

 

 そして“聖杯”は、そのような時代の中で、忘れ去られた女性の象徴として描かれています。

 

 無知迷妄はわれらを誤り導く。

 哀れな人間たちよ、おのが目を開け!

       ──レオナルド・ダ・ヴィンチ

 

 いよいよ下巻。聖杯とは。真実は。

 ダン・ブラウンは、どんな結末を見せてくれるのでしょうか。