先を読まなければ… ─『日本史の探偵手帳』その1(磯田道史)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

「城を建てるときは便所の天井を高くしておけ」

 武士が戦いの一刻を争うような時に、のぼりを差したまま用を足せるようにとのことです。

 磯田道史さんによれば、強い集団ほど現実的で細かい知恵やノウハウが、全体に行き渡る工夫がされているのだそうです。

 

 また、こういうのもあります。

「朝は常に早く起きるように心掛けねばならぬ。遅く起きるならば、召し使っているものまでが気持ちを緩めてしまう。」(北条早雲)

 (確かにそうなのだけれど、そういうことはやめてほしい・・・)という部下たちの心のつぶやきが聞こえてきそうですが・・・。

 

 そして、これらのことから、磯田さんは次のように結論付けます。

 こうしてみていくと、戦国武将たちが重視したポイントがわかる。それは、もしこうなったら・・・という脳内シミュレーション能力の高さである。

 

 ・・・心に刺さりました。

 実は私、今日までに仕上げておかねばならない宿題ができておらず、昨日の昼ごろからやっと手をつけ始め、我ながらものすごい集中力でなんとか仕上げたところです。締め切りが今日ということは、ひと月も前から分かっていたのにもかかわらず、そして、後回しにすれば大変なことになるのも分かっていたはずなのに・・・。

 なんというシミュレーション能力の低さ。戦国時代に生まれていたら、真っ先に敗れ、領地を奪われ、妻子ともども悲惨な生活を送っていたことでしょう。

 

 現代に生まれてよかった。