橋本治さんが亡くなられたとの記事が新聞に載っていました。
『桃尻娘』を書かれた方と聞いて、以前、私がブログに取り上げていたことを思い出しました。
孫引きだったので、『桃尻娘』自体を読んではいないのですが、それでも心に残っていた本です。
ひらかれた文章を書くと同時に、無類に話のおもしろい人。
書き言葉を信頼せず対話をつづけたソクラテスのように話し言葉を重んじ、日本語で一番大事なのは音だと言い、浄瑠璃や歌舞伎など、「語りの芸能」を好んだ人。
プリンストン大学から客員教授の誘いがあったとき、「日本語のやりとりのない場所で自分の仕事はできない」と断るほど、日本語と日本人を好きだった人。
(以上、朝日新聞に寄稿された松家仁之さんの文章から)
ブログを始めなかったら、おそらく橋本治さんのことは知らないままだったでしょうし、この新聞記事も自分の目にはとまらず、さらりと読み飛ばされていたでしょう。
ブログの方々に古本の魅力を教えていただき、だから昼の散歩の途中で見つけた古本屋に立ち寄ろうという気になり、鶴見俊輔さんの本をなぜか手に取り、そこにたまたま橋本治さんの『桃尻娘』が取り上げられていた…やはりものすごい偶然の出会いだったと思うのです。そしてその偶然の出会いのおかげで、今日の新聞が自分の特別な新聞になりました。
自分の知らなかった本、あまり読んでいなかったジャンル、絵本、映画…。
地道にですけれども、とてもいい世界を見せてもらっているのだと思います。
これからもどうぞよろしくお願いします。