「ユービスーノ」の話 | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 電車で通勤していると、電車で通学しているかわいい小学生が乗ってきます。

 先日は、3人の低学年と思われる男の子が輪になり、

「ユービスーノ 3」「ユービスーノ 5」

と遊んでいます。

 そっと覗いてみると、それぞれ両手をグーにして出し、合図に合わせて思い思いに親指を立てています。みんなが立てた親指の数を当てる遊びのようです。この遊び自体は、昔「指スマ」として流行ったので、すぐ分かりました。

 謎なのが、「ユービスーノ」なるもの。ハイカラなようで、古代インドの言葉のようで、適当なようで、深い意味のあるようで。

 (もしかして、「優美(ユービ)な数(スー)」のことか?)

 (いや、もしかしたら、ユークリッド幾何学に由来するのか? 最近の小学生は進んでいるから・・・)

などと考えているうちに、ふと気がつきました。

 なんのことはない。「指数の」と言っているだけなんだ。

 一人で苦笑いしながら、それでも、この男の子たちが降りるまでの二駅ぐらいの間、優美で知的な雰囲気の「ユービスーノ…」の言葉の響きとリズムを楽しんで聞いていました。