家族 ─ 世界にふたつとない 不思議な 幸福な場所 ─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 ある住宅メーカーのボディコピーからの抜粋です。

 

地球がぐるりと一周して

帰ってくる 一年のはじまりに

 

帰ってくる こどもたちが 家族が

また この家に この場所に

 

帰ってくる たくさんの話をつれて

それが いちばんの おみやげだから

 

帰ってくる 一年のはじまりに

家族の はじまりの この家に

 

こんな場所は 世界にふたつとない

こんな不思議な 幸福な場所は

ほかにない

 

 お正月、私の父母の家に、東京から兄が、大阪から妹が帰ってきていました。

 小さい頃は当たり前のように5人で暮らしていた家族が全員そろうのは、今は、この数日のみです。

 1月1日、2日と一緒に晩ご飯を食べ、

 3日に、妹は大阪に戻っていきました。

 今日、兄は東京に戻っていきました。

 賑やかだった父母の家は、また静かな日常に戻ります。

 

 今の私は、妻、長男、長女と私の4人家族。

 しかし、昨年4月に長男が県外の大学に進学し、残っているのは3人です。

 その長男が今、冬休みで家に帰ってきているのですが、明日、下宿に戻っていきます。

 長男のいた空間がごそっと持って行かれたような喪失感は避けられないでしょう。

 

 長男が我が家から離れるようになって、やっと父母の気持ちが分かるようになりました。

 自分が大学に行ったときも、きっと父さんと母さんは、こんなふうに寂しかったんだ。なのに、「今年の年末はバイトで帰れない」などと、自分は好きなようにしていた・・・。

 

 幸いにも、父母の家は、私の家から徒歩5分ほどの場所にあります。

 お正月のように父母と3人兄妹の5人がそろうことはできないけれども、せめて(昔から一番迷惑をかけた)私だけでも、もっと顔を出すようにしなければなあ。幸福の3分の1さえも担えるかどうかは分からないのだけれど。