平成に入ってからの人気名前ランキングが発表されました(明治安田生命調べ)。
このことが「編集手帳」に取り上げられていました。
俳優の高倉健さんは会う人会う人、名前をほめた。実際にほめられた人を知っている。「名前は人生に同じ、大事にしよう」と聞こえたそうである。
(読売新聞「天声人語」(平成30年11月29日)より)
また、重松清さんの小説「カッコウの卵」では、吃音のためにうまくしゃべれない村内先生の、訥々と語る言葉が印象的です。
「あのなあ、人間はなあ、おとなになる前に、下の名前で、たっ、たくさん呼ばれなきゃいけないんだ。下の名前で呼んでくれる人が、そばにいなきゃいけないんだ。…(略)下の名前を呼んでもらえるってことは、ひとりぼっちじゃないってことだから。だっ、誰かがそばにいるってことだから……」
(「カッコウの卵」(重松清『青い鳥』収録)より)
自分を下の名前で呼んでくれる人、呼んでいてくれていた人、呼んでいてくれた頃。
自分と人とが近く、飾らずにいる光景が思い浮かびます。