「ぼく、お手紙 もらったこと ないんだもの。」と悲しむがまくんに、友達のかえるくんがそっとお手紙を書くお話。かえるくんは、書いた手紙をかたつむりに託します。それ故、お手紙が届くのは、その4日後になります。
読んだ子どもたちの多くは、「どうしてかえるさんは、お手紙をかたつむりさんにたのんだの?」と疑問をもつでしょう。「うさぎさんだったらもっと早く届いたのに。」「せめてバッタさんなら・・・」などなど。
なかなかお手紙が届かず、待ちきれないがまくんに、かえるくんは自分がお手紙を出したことを伝えます。
そして─。
それから、二人は、げんかんに出て、お手紙の来るのをまっていました。
二人とも、とてもしあわせな気もちで、そこにすわっていました。
歌人・俵万智さんは、こう言います。
あんなに身近だったものが、気がつけば、静かに姿を消しつつある。メールは便利だし、宅配便業者のおかげで、いろんなものが安く送れるようになった。ただ、そのぶん、季節を思い、その切手を見る相手のことを思う、ささやかな時間が失われた。(俵万智『ちいさな言葉』)
かたつむりがもたらした二人の幸せな時間。
超特急で進む日常で、無くしてはいけない時間。