当たり前の幸せをかみしめよう ─『あなたは、誰かの大切な人』(原田マハ)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 ねえ、マナミ。人生って、悪いもんじゃないわよ。

 神様は、ちゃんと、ひとりにひとつずつ、幸福を割り当ててくださっている。

 誰かにとっては、それはお金かもしれない。別の誰かにとっては、仕事で成功することかもしれない。

 でもね、一番の幸福は、家族でも、恋人でも、友だちでも、自分が好きな人と一緒に過ごす、ってことじゃないかしら。

 大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにする。

 笑ってしまうほど単純で、かけがえのない、ささやかなこと。それこそが、ほんとうは、何にも勝る幸福なんだって思わない?

   (原田マハ、『あなたは、誰かの大切な人』より)

 

 私の職場が家から遠いため、普段の晩御飯は、どうしても夜遅くに、家族とは別にとるようになってしまいます。もう10年以上、そういう生活が続いています。当たり前の幸福を味わえないことが当たり前になってしまっていました。

 明日からの3連休。娘は期末テスト発表中。妻と私は、昼間はそれぞれ好きなことをして気ままに過ごすことでしょう。でも、晩ご飯はそろってみんなで食卓を囲み、ささやかな幸福を3回、かみしめたいと思います。旅行も外食も久しく御無沙汰している家族の、ほんとに小さな幸せです。