「古書○○堂書店 50メートル先」
ふと訪れた町をぶらぶらと歩いていたら、電信柱にこんな看板を見付けました。
何かに導かれるようにそのお店に入っていきました。
本にしみ込んだ歴史が、音まで吸い込んでしまったような雰囲気は、前回の古本屋さんと同じでした。
黒い毛並みのきれいなネコが私のそばを通りぬけ、本棚の角を曲がった向こうからは、
「おおー、みいちゃん、みいちゃん」
という年配の男性の方の声が聞こえてきました。
十年一日のごとく営んできた空間が醸しだす、静けさが心地よく届いてきました。
ある古書販売店には、全国から毎日2万冊の古本が送られてきて、1万冊ほどは本の生命を終えてしまうそうです。
「古本の売買は『残す意志』の連鎖である」
10月14日の「天声人語」には、書評家・岡村武志さんの言葉が紹介されていました。
ネットや新刊書店では、おそらく一生出会うことのなかった本たちがここにある。
でも、もしかするといずれはこの本たちは処分されてしまうかもしれない。
そんなことを考えながら、自分に語りかけてきた本を2冊、購入しました。