「保育園落ちた日本死ね!!」がここにも? ─『らんだむ・りいだあ』(鶴見俊輔)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

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「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 『らんだむ・りいだあ』は、「古本に導かれて」のブログで少し触れた本です。


 この本の中で、橋本治さんの『桃尻娘』という大河青春小説のことが取り上げられていました。

 その小説に登場する女子高生は、受験生の思いを、女子高生らしい言葉に託して訴えています

 

 例えば─

 普通の高校生の普通の高校生活を送ってて、それでなおかつ大学に入れなかったら、絶対そっちの方がおかしいわよネ。ネッ、そうでしょ?

 

さらに

 エーッ、日本の教育制度について御報告をしたいと思います。

 畜生、あたしは、綺麗さっぱり、ゼエーンブ、落っこちました。落っこちたのよ、落っこったの。これ以上の事はもう書きたくありません。

 

 あれ、この言い回し、どこかで聞いたことがある。何だろうと思っていたら、これでした。

 

何なんだよ日本。

一億総活躍社会じゃねーのかよ。

昨日見事に保育園落ちたわ。

どうすんだよ私活躍できねーじゃねーか。

(以下略)

 

 池澤夏樹さんは、このブログの全文を見て、「生半可なコピーライターには絶対に書けない名文」と言い切りました。もしかしたら、0年前の「桃尻娘」まで読破した上で書いている、非常な読書家の方だったのでしょうか。

 まさか、桃尻娘さんご本人とか。

 いや、橋本治さんがこのブログを書いた?

 

 ありえない勝手な想像をお許しください。

 40年の時を経て、似通った二つの文章を発見したのがちょっと嬉しかったもので。